中1保健/健康な生活と疾病の予防/休養・睡眠と健康
中1保健の全体像|今は「休養・睡眠」
東京書籍・1年の公開指導計画を例に、学ぶ内容のつながりを整理しています。授業の実施月を示す図ではありません。
健康な生活と疾病の予防①
- 1健康の成り立ち疾病の発生要因
- 2運動と健康
- 3食生活と健康
- 今ここ休養・睡眠と健康
- 5調和のとれた生活
中1のもう一つのまとまり|心身の機能の発達と心の健康
- 体の発育と機能の発達
- 生殖に関わる機能の成熟
- 精神機能の発達と自己形成
- 欲求・ストレスへの対処
こちらは主な内容のまとまりです。小単元をすべて列挙した一覧ではありません。
前の学習とつなぐ:運動・食事の学びを振り返り、睡眠だけを削らず生活全体で考える。次へつなぐ:生活全体の調和や、心身の状態との関わりを考える。大修館書店では休養・睡眠の後に「特集資料」があり、章立ては下表で区別します。各項目は内容の案内で、記事リンクや今後の制作予定ではありません。
- 教科書の「休養・睡眠と健康」を、読んで終わる授業にしたくない。
- 疲労の回復と、自分の生活をどう結び付けて考えさせる?
- 授業で見せる資料や、使えるワークを探している。
棒人間・椅子・ベッドの絵から考え、教科書で休養・睡眠の役割を確かめる授業案です。そのあと文科省のクイズと24時間の紙面を使い、生活に合う工夫へつなげます。
「早く寝よう」という目標を書く前に、なぜ休養・睡眠が必要なのか、生活に合わせてどうとればよいのかを考える。そのための発問・公式PDF・50分案をまとめました。
出版社の公開資料と現行学習指導要領を参考にした授業提案です。筆者の実施記録や、出版社・文科省指定の授業案ではありません。
教科書のどこで使う?|中1「休養・睡眠と健康」
現行の中学校学習指導要領解説では、保健分野「健康な生活と疾病の予防」の生活習慣と健康で、疲労を回復する休養・睡眠と、運動・食事を含む調和のとれた生活を扱います。
| 公開資料で確認した教科書 | 学年・単元 | この授業の位置 |
|---|---|---|
| 大修館書店 令和7年度〜『最新 中学校保健体育』 | 1年・保健① 「健康な生活と病気の予防①」 | 4「休養・睡眠と健康」 公開構成一覧のp.24〜25 |
| 東京書籍 令和7年度版『新編 新しい保健体育』 | 1年・保健編1章 「健康な生活と疾病の予防①」 | (4)「休養・睡眠と健康」p.20〜21 次の(5)「調和のとれた生活」p.22〜23へ接続 |
ページ・単元名は出版社の公開構成一覧/指導計画に記載されたものです。教科書本文全ページの閲覧結果ではありません。版や学校の年間計画を確認し、採択教科書の該当箇所に合わせてください。学習指導要領の領域名と、各社の章名は同じ表記ではありません。
テスト前だけに慌てない|年間計画に合わせた準備例
学校の年間指導計画に合わせる準備例です。「何月に必ず教える」という指定ではありません。公開資料で確認した内容のつながりを、学校の配列・進度に合わせて使ってください。
考えさせたいこと|疲れを残さないために、何を選ぶ?
黒板の疲れた人を見て、「この人に何が起きていそう?」「何のために休む?」と聞きます。本人の就寝時刻や病歴を発表させるのではなく、架空の人を使って疲労と休養・睡眠の関係を考えます。
「疲れを次の日まで残さないために、どんな休養・睡眠のとり方を選べるだろう?」
- 気付く:疲れたとき、体や気持ちにはどんな変化がある?
- 教科書で確かめる:休養・睡眠は、疲労の回復にどう関わる?
- 生活へ戻す:部活や通学のある日には、どんな工夫や周囲の支えが必要?
ここでの発問は体育.netの提案です。教科書で学んだ内容を根拠に説明する場面をつくり、次の文科省資料で予想や生活の配分を確かめます。
板書の入口|疲れた人から、「どう休む?」を考える
まず、肩を落とした棒人間を一人。「この人、どんな様子?」と聞きます。生徒の言葉を体や顔のそばに書いてから、休む人・ベッドを足し、「何のために休む?」へ進めます。
体・気持ちの変化を
絵のそばに書く。
休む方法を足す。
理由を聞く。
目覚めや日中の眠気。
何を確かめる?
- 疲れた人を描く。「体や気持ちは、どんな感じ?」
- 椅子で休む人とベッドを足し、矢印でつなぐ。「どんな休み方を選ぶ? なぜ?」
- その後の人と「?」を描く。「何を見れば、休めたか考えられる?」。教科書で疲労の回復と結び付ける。
「休めば必ず元気になる」という決め付けにはしません。
疲れの現れ方や必要な休養には違いがあります。眠気や不調が続くときは、本人の努力不足にせず相談へつなぎます。
体育.net作成の板書案。顔や姿勢だけで疲労や病気を診断する図ではありません。絵は見せ方の例で、授業中に同じ姿勢や表情を演じさせる必要はありません。文科省手引の「疲労する場面と回復の方法を考える」学習を参考にした独自構成です。
教科書の学びを深める|文科省の補助資料を選ぶ
入口は一つですが、資料の改定年は同じではありません。生徒に見せる資料と、教師が背景を読む資料を分けて選びます。
クイズと実践のパンフレット
まずはこちら。クイズ、24時間円グラフ、生活習慣のチェック、睡眠記録などがまとまっています。
生徒向けの公式PDFを開く →授業前の確認に使う資料
指導のねらいや留意点を確認する資料です。生徒向けの改定版と同じ時期の資料ではないため、健康情報は新しい公的資料とも照合します。
指導者用の公式PDFを開く →掲載ページのPPTは令和3年度改定、単独の睡眠チェックシートは平成26年度です。掲載されている全資料が令和6年度版、という意味ではありません。
展開を考える際は、改訂「生きる力」を育む中学校保健教育の手引・第1学年の展開例も参考になります。
クイズと24時間の振り返り|紙面を見て使う
答えの説明はp.4〜15
24時間の配分
生活習慣チェック
記録の説明・睡眠チェックシート
① まず1問。「答え」より、そう考えた理由を聞く
導入では、クイズを全部解く必要はありません。例えば「平日の不足を休日だけで補えばよいのか」という問いに着目し、予想と理由を出してから公式の説明を読みます。正解の数を競わせるより、「どうしてそう考えた?」を一言聞くところから。
「そう思った理由は?」「どの説明を読んで、考えが変わった?」

「平日の不足を休日だけで補える?」など、今日の学習に合う問いから。答えを急いで教えるより、教科書や冊子の説明を根拠に確かめます。画像を押すと拡大できます。
出典:文部科学省「早寝早起き朝ごはんで輝く君の未来〜睡眠リズムを整えよう!〜」令和6年度改定、冊子p.2。公式PDFの当該ページを画像化、内容変更なし。
② 24時間を見渡す。「早く寝る」の前に、どこが詰まっているか
冊子p.16の円グラフで、学校がある日の時間の使い方を振り返ります。「学校」「移動」「部活」「食事・入浴」「勉強」「自由時間」「睡眠」など、大まかな流れが分かれば十分です。細かく正確に書かせることが目的ではありません。
その上で、「自分が変えられるところ」と「家族や学校に相談したいところ」を分けます。通学や家庭の用事まで、本人の努力不足にまとめないようにします。
授業で使う紙面を、ここで確認する
文科省の公式PDFから、生活を見渡す冊子p.16と、続けて記録するp.18を表示します。画像を押すと大きく見られます。印刷・配付には、各ボタンから公式PDFを開いてください。

円グラフと生活習慣チェックで、今の生活と変えられそうなことを考える。
出典:文部科学省「早寝早起き朝ごはんで輝く君の未来〜睡眠リズムを整えよう!〜」令和6年度改定、冊子p.16・18。公式PDFの当該ページを画像化したもので、内容は変更していません。文科省の利用規約に基づく出典表示付きプレビューです。公式PDFは他サイトからの直接埋込みを制限しているため、紙面画像と元PDFへのリンクで案内しています。
図で考える|睡眠を「残った時間」にしない
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することが推奨されています。これは全員を同じ時刻に寝かせる決まりでも、個人の合格・不合格をつける基準でもありません。必要な睡眠には個人差があります。
8時間残りの生活時間
16時間
10時間残りの生活時間
14時間
「学校・移動・部活・勉強・食事・自由時間を、どう組み合わせる?」
「8時間に足りないから、明日から必ず2時間早く寝る」と急に決めるのではなく、現在の生活と照らして考えます。まず、寝る前の過ごし方で変えられることはあるか。帰宅が遅い日には何を相談できるか。睡眠だけを削ってすべてを詰め込む以外の選択肢を探します。
もう一つ大事なのは、時間だけでなく、朝の目覚めや日中の眠気などにも目を向けることです。記録は診断ではありませんが、本人が困り事を言葉にして、相談する手がかりになります。
50分授業の提案|教科書の知識を、生活の工夫へ
「休養・睡眠と健康」で疲労の回復と休養・睡眠の必要性を学ぶ案です。調和のとれた生活を扱う時間へ続ける場合は、後半の生活配分の検討を次時へ分けても構いません。
| 時間 | 活動 | 教師の働きかけ |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 疲れた棒人間を見て、体や気持ちの変化を考える。 | 出た言葉を顔や体のそばに書く。本人の病歴は聞かない。 |
| 5〜15分 | 休む人・ベッドを描き足し、教科書で役割を確かめる。 | 「何のために休む?」。絵から出た考えを教科書へ戻す。 |
| 15〜20分 | 文科省のクイズ1問で、予想と資料の説明を比べる。 | 今日の内容に合う問いを選び、根拠を確かめる。 |
| 20〜30分 | 冊子p.16で、学校がある日の24時間を見渡す。 | 睡眠だけでなく、運動・食事など生活全体を見る。 |
| 30〜40分 | 板書の人へ矢印を戻し、工夫と相談したいことを足す。 | 「なぜその工夫? その後、何を確かめる?」と聞く。 |
| 40〜50分 | 選んだ工夫と理由、まだ難しいことを振り返る。 | 生活状況を採点せず、知識を使った説明を見取る。 |
話したくない事情は発表しなくてよいと伝えます。自分の記録を出したくない生徒には、教師が示した架空の生活例などで考える方法も用意します。共有するのは工夫や理由に絞れます。
振り返りは、三つの短い問いで
□ 資料を読んで、初めて知ったこと・考えが変わったことは?
□ 今の生活の中で、試せそうな工夫は?
□ 自分だけでは難しいこと、相談したいことは?
この授業案と三つの問いは体育.netの提案です。文科省のチェックシートをそのまま書き写したものではありません。
続けて確かめるなら、公式の睡眠チェックシートへ
1日の円グラフは生活全体を見渡すためのもの。睡眠チェックシートは、日ごとの寝た時間や起きた時間などの違いを見るためのものです。役割を分けると、同じ記録を何枚も書かせずに済みます。
冊子p.16
24時間の使い方を振り返り、何ができそうか考える。
冊子p.17〜18
書き方を確認してから、日々の睡眠を記録する。
公式の説明では、生活習慣の目標を三つ選び、2週間連続で記録する形式です。授業後もこの形式で取り組む場合は、書き方を最初に確認し、記録の目的・提出先・扱い方を生徒と保護者に伝えます。
この記事の導入案は「まず一つの工夫」。公式シートの「目標三つ・2週間」とは別の提案です。
振り返りでは「何日できた?」だけでなく、「難しかったのはどんな日?」「一人で変えられないことは?」を聞く。
評価の対象を、寝た時間の長さや家庭の生活状況に置きません。授業で扱った知識を使って課題を捉え、工夫とその理由を説明できたかを見取ります。記録そのものは支援の資料として扱い、クラス内の順位付けには使いません。
生活指導の配慮|「できない」を、意志の弱さで片付けない
生活を変えるには、本人の工夫だけでなく、家庭や学校の環境が関わります。通学、家の手伝い、学習環境などを聞かずに、「早く寝れば解決する」と結論付けないことが大切です。
- 生活記録をそのまま掲示・回覧しない。共有する範囲と、記録の管理方法を決める。
- 実際の生活を書きたくない場合の選択肢を用意する。
- 保護者への案内は、できていない点の指摘だけでなく、学校で何を学んでいるか・何を一緒に考えたいかを伝える。
- 寝つけない、強い眠気や起きられなさで生活に支障があるなどの困り事は、生活目標を書かせるだけで終えず、養護教諭や保護者と連携して必要な医療相談につなぐ。
この記事は授業資料の紹介であり、睡眠障害の診断・治療法を示すものではありません。文科省の指導者用資料でも、専門的な個別指導や睡眠障害が疑われる場合の専門家との連携が示されています。
参考動画|中高生向けを1本、その場で選ぶ
早寝早起き朝ごはん|小学校高学年〜中高生向け
山口市の公式ページに掲載された生活習慣の参考動画です。文科省パンフレット専用の解説ではありません。見せる区間を教師が選び、「教科書で学んだことと、どこがつながる?」を考える入口にします。
まずはこの1本で対象と内容を確かめます。保護者向け等は掲載ページから選べます。自動再生・再アップロードはせず、動画なしでも教科書と紙面で授業を進められるようにしておきます。
教材研究を、もう少し進めたい先生へ
中学校・保健の本を、条件から探す

授業の資料をもう少し比べたいときに。書名・著者・ISBNで検索し、出版社や刊行年でも絞れます。「睡眠」などのキーワードも試し、対象と内容を確かめて選んでください。
実技と健康のつながりを考えるなら、中学校の体つくり運動の記事も参考になります。保健で考えたことと、実際に体を動かして感じたことを行き来する入口として使えます。
参考資料
- 文部科学省「早寝早起き朝ごはん」中高生等向け普及啓発資料・指導者用資料:資料の種類と改定年。
- 中高生向けパンフレット(令和6年度改定):冊子p.2、p.16〜18を中心に使用。
- 中学校学習指導要領解説・保健体育編、改訂「生きる力」を育む中学校保健教育の手引(令和2年3月):中1保健の位置づけと授業づくり。
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」:こども版、冊子p.15〜16。中高生の睡眠時間の参考値等。
- 山口市「早寝早起き朝ごはん!」:対象別の参考動画。
資料確認:2026年11月2日。資料の案内図・時間配分図・授業案は体育.net作成で、文科省の公式制作物ではありません。第三者のイラストやキャラクターは転載していません。
