- 球が台に入らず、ラリーが続かない。
- 経験者との実力差が大きく、ゲームが一方的になる。
- 台が少なく、待っている時間が長い。
まずは二人で「続いた!」をつくる。強く打つことより、相手が返しやすい場所に送ることから始めます。ラリーが続いたら、コースや回転を少しずつ加え、ゲームの駆け引きへつなげましょう。
基本から発展までの実技動画15本と、初回50分・8時間の単元例、台が少ないときの活動案をまとめました。活動・声かけ・時間配分は資料を参考にした授業提案で、筆者の実施記録ではありません。
活動・動画を選ぶ|今日の授業の入口
授業前の準備|台の設置と球拾いを先に決める
足元の球や隣の台への侵入は、転倒・接触の原因になります。停止の合図を決め、周囲のプレーが止まってから回収します。
- 台の移動・開閉は取扱説明書と学校の手順に従い、教師が管理します。生徒だけで開閉させず、指挟み・転倒・ロック不備を防ぎます。
- 台の周囲と通路に余裕を取り、壁・支柱・他の台との接触を防ぎます。台に乗ったり、腰掛けたりしません。
- ラケットの破損、床の滑り、靴ひもを確認。説明時は振らず、待機場所を打球・スイングの範囲外にします。
- 練習用の球を床に散らしたまま打たない。球は容器にまとめ、回収する時間を区切ります。
- 痛みや不調は教師に伝えて中止。移動量・姿勢・活動時間は生徒の状態に合わせます。
導入は「強く打つ」より「1球返せる」
最初に握り方と構えを教師が示します。シェークハンド・ペンホルダーの違いを確認し、用具や経験に合う持ち方で始めます。握り方はニッタクの初心者向け資料でも確認できます。
ラケットに球をのせて保つ。
慣れたら軽く弾ませる。
安定したやさしい球を受け、
相手の台へ返す。
同じコースで3打→5打。
強さより続けやすさ。
3打・5打は二人の打数の合計で、記事用の目安です。初めの1球は教師の球出しや、相手の台に1回弾むやさしい手投げから。正式なサービスとは区別し、返球が安定したらサービスから始めます。
| 見るポイント | 生徒への短い声かけ |
|---|---|
| 打つ前 | 球を見て、無理なく届く位置で構えよう。 |
| 打つとき | 大きく振り回さず、相手が返せる強さにしよう。 |
| 打った後 | ラケットを戻し、次の球に備えよう。 |
| 二人で | 相手が困る球ではなく、続けられる球を送ろう。 |
動画一覧|基本と発展を分けて選ぶ
最初はフォアの軽打・バックのショート・ラリーを始めるサービスを中心に扱います。回転、スマッシュ、3球目攻撃などは発展の引き出しです。15項目を全員に一度に習得させる単元ではありません。
| 目的 | 見たい動画へ |
|---|---|
| まずラリーをつなぐ | フォアハンドドライブの軽打 / バックハンドのショート(シェークハンド) / バックハンドのショート(ペンホルダー) |
| サービス・回転を確かめる | ドライブサービス / 下回転サービス / 横回転サービス(フォアハンド) / 横回転サービス(バックハンド) |
| 返し方・攻め方を広げる | ショートカット / スマッシュ / バックハンドドライブ(シェークハンド) / カット(フォアハンド) / カット(バックハンド) |
| ゲームでの組み立て・ダブルス | 3球目攻撃 / 4球目攻撃 / ダブルスの動き方 |
動画は学研学校教育ネット・中学体育実技(令和3年度版サイト)掲載。副読本と併用する実技見本です。授業で見る観点を一つ決め、視聴後はすぐに試す時間へつなげます。
まずラリーをつなぐ
フォアハンドドライブの軽打
学研・中学体育実技
バックハンドのショート(シェークハンド)
学研・中学体育実技
バックハンドのショート(ペンホルダー)
学研・中学体育実技
サービス・回転を確かめる
まずは回転量より、正しい手順で相手の台へ入れることを優先します。強い回転をかける練習は、基本のサービスが安定してから選びます。
ドライブサービス
学研・中学体育実技
下回転サービス
学研・中学体育実技
横回転サービス(フォアハンド)
学研・中学体育実技
横回転サービス(バックハンド)
学研・中学体育実技
返し方・攻め方を広げる
自分の課題に合うものを選ぶ発展動画です。スマッシュは返球が安定し、周囲の安全を確保できる場合に。全員の必須課題にしません。
ショートカット
学研・中学体育実技
スマッシュ
学研・中学体育実技
バックハンドドライブ(シェークハンド)
学研・中学体育実技
カット(フォアハンド)
学研・中学体育実技
カット(バックハンド)
学研・中学体育実技
ゲームでの組み立て・ダブルス
3球目はサービスした側の次の打球、4球目はレシーブした側の次の打球。最初は名称や決まった攻撃を覚えるより、返ってくる球を予想する観点で見ます。
サービスは「自分の台→相手の台」へ
ラリー中の返球と違い、サービスは自分の台で1回弾ませてから相手の台へ送ります。入門では複雑な回転を急がず、この違いを実演で見せます。
開いた手のひらに球を置き、
相手に見えるように構える。
ほぼ垂直に16cm以上。
落ちてくる途中を打つ。
自分の台→ネットを越えて
相手の台へ。
上は基本の一部です。球を隠さないこと、台面より上・エンドラインの後方から行うことなども含め、正規のサービスは教師が現行ルールを確認して示します。日本卓球協会・ルールFAQ
サービスの失敗だけで練習が止まる段階では、やさしい球出しからラリーを始めても構いません。ただし正式なサービスとは呼ばず、練習方法の変更として共有します。
協力ラリーから、コースを選ぶゲームへ
| 段階 | 活動の提案 | 確かめること |
|---|---|---|
| 同じコースでつなぐ | フォア同士など返しやすい場所へ送る。 | 力や面の向きを調整できる? |
| コースを変える | 相手の準備を確認し、左右の広い範囲へ打ち分ける。 | 打つ方向を選べる? |
| 簡易シングルス | 短時間で交代し、相手の位置を見て返す。 | 強打以外でも得点につながる? |
| 課題に戻る | ゲームで困った返球を動画と練習で確かめる。 | 次のゲームで何を試す? |
コースの目安は台の外から教師が示します。台上に硬い障害物を置かず、備品を傷める書込み・テープ貼りも避けます。
サービスを1本交代にする、時間終了時に同点なら引き分けにするなど、活動時間を確保する約束を設定します。これは授業用の変更ルールです。経験がついたら、正規の得点・サービス交代の仕組みも確認します。
対戦では「左右どちらが空いていたか」「どんな球が返ってきたか」を一つ振り返ります。経験差が大きいときは協力課題と近い経験同士の対戦を組み合わせ、初心者をずっと受け手にしません。
ダブルスは「交互に打つ」と「打った後に空ける」
卓球のダブルスはペアが交互に打ちます。サービスは右半面から相手の右半面へ。最初は速い対戦より、順番を声で確かめる協力ラリーで動きを学びます。
打った後は仲間が入れる空間をつくります。動く方向を一律に固定せず、利き手や配置に合わせて教師が安全な動線を確認します。二人が交差してぶつかる状態なら、台なしでゆっくり動きを確かめ直します。
台が少ないとき|待ち時間を学習に変える
1台4人なら、2人が打ち、2人が観察・記録して2分程度で交代する案です。観察者は台のすぐ横や球を追う通路に立たず、決めた安全な位置から見ます。
協力ラリーやサービス。
一つの課題に集中する。
面・力・構え直しから一つ。
助言を短く返す。
球慣れ・素振り・動画確認。
台で試すことを決める。
さらに人数が多ければ、台を使う班と台なし活動の班を分けます。台なし練習も周囲の間隔を確保し、長時間の球拾い役・記録役に固定しません。台数、通路、教員が見渡せる範囲を優先して班数を決めます。
つまずいたら|「力・面・位置」を一つずつ
| 様子 | 戻し方 |
|---|---|
| オーバーする | 振りを小さくして力を弱める。ラケット面も見本と比べる。 |
| ネットにかかる | 球の高さ・当たる位置・面の向きを一つずつ確認。 |
| 空振りする | 球出しを安定させ、動かず届く1球から戻す。 |
| フォアしか打てない | バック側だけのやさしい球で練習。握り方に合う動画を見る。 |
| サービスが入らない | 回転より自分の台→相手の台の順序。教師の実演から。 |
| 回転球が返らない | 回転の少ない球へ戻り、慣れたら一種類だけ比較する。 |
| 台での活動が少ない | 交代時間を短く決め、全員が打つ回数を確保する。 |
初回50分|初めてでも二人でつなぐ
| 時間 | 活動 | 教師の支援 |
|---|---|---|
| 0~8分 | 健康観察・準備運動・安全確認 | 台と用具、停止・球拾いの約束を確認する。 |
| 8~15分 | 握り方・構え・球慣れ | 見本を示し、やさしい課題から選ぶ。 |
| 15~25分 | 安定した球を1球返す | 台を使う班と観察班を短時間で交代する。 |
| 25~38分 | 同じコースで協力ラリー | 3打→5打など二人の目標を決める。 |
| 38~45分 | サービスを試す | 返球との違いを実演する。 |
| 45~50分 | 整理運動・記録・片付け | 続いた理由を一言。台の片付けは教師管理。 |
8時間の単元例|ラリー→打ち分け→ゲーム
1・2年の入門を想定した一例です。年間計画と既習経験に合わせて調整します。3年や経験者には、配球・回転・ダブルスの連携を選択課題として広げます。
| 時 | 主な学習 | 振り返り |
|---|---|---|
| 1 | 安全・球慣れ・フォアでつなぐ | 続けやすい強さは? |
| 2 | バックで返す・サービスの基本 | 自分たちでラリーを始められた? |
| 3 | フォアとバックを使い分ける | 無理なく打てる位置に動けた? |
| 4 | 左右のコースへ打ち分ける | ねらった方向に返せた? |
| 5 | 簡易シングルス・課題発見 | 相手の位置を見ていた? |
| 6 | 課題別練習・回転の入口 | 何を変えると返しやすくなった? |
| 7 | ダブルスの交互打ちと動き | 仲間が打つ場所を空けられた? |
| 8 | 交流ゲーム・まとめ | できるようになった動きと工夫は? |
そのまま見せられる|3つの確認カード
□ 相手が構えている
□ 返しやすい強さで送る
続いた理由は__。
□ 打った後に構え直す
□ 球を見て位置を調整
次に変えるのは__。
□ 相手の位置を見る
□ 左右のコースを選ぶ
うまくいった工夫は__。
評価は勝敗や連続回数だけで決めません。返球・位置取りの技能、課題と練習を選ぶ理由、仲間への助言、安全・協力の姿を、練習中の観察と振り返りから見取ります。
教材研究に役立つ参考書
卓球王国まとめ『卓球ビギナーズバイブル』(卓球王国、2017年)。基本技術、練習法、戦術、ダブルスなどを調べる入門書です。授業の単元計画そのものではなく、指導の引き出しとして使えます。
刊行後のルール変更は日本卓球協会の情報と照合してください。版・在庫・購入条件はリンク先でご確認ください。
書籍ライブラリーを「球技・ボール運動」で絞り込み、卓球やほかのネット型教材に関する本を比較できます。
次の授業準備に|編集できる実践教材
中学校の柔道・バレーボール・ダンスでは、授業に合わせて使える教材を用意しています。授業の進め方と収録内容は各ページで確認できます。
参考資料・動画の掲載元
資料・リンク確認:2026年9月15日。動画は掲載元のプレーヤーで表示しています。


