中2/保健/健康な生活と疾病の予防②/3 がんとその予防
- 「二人に一人」などの数字だけが印象に残る。
- 予防を強調しすぎて、患者や家族を傷付けないか心配。
小さな細胞の絵を描き、変化と増殖を見せる。「予防できること」と「全ては防げないこと」を一緒に扱います。
棒人間や身近な物を描き、絵を指して問い、教科書の言葉で確かめる授業案です。板書は完成図を写すだけでなく、生徒の考えを描き足して使います。
筆者の実践を記した部分と、資料に基づく授業提案を分けて紹介します。台詞・架空条件・時間配分は再構成した例で、文科省・出版社の指定授業案ではありません。
授業提案
「気を付ければ絶対大丈夫?」を、知識で確かめる
「予防すれば100%ならない」と「どうせ防げないから何もしない」の二枚のカードを置きます。どちらにも引っ掛かりがあることから、できることと限界を一緒に考えます。
絶対ではない。でも、できることはある。この二つは、両立するかな?
生徒が動く場面へ
細胞の図と資料を確かめ、二枚の極端な言い方を、生徒自身の一文へ書き換える。患者・経験者の映像を使うときは、視聴しない選択も先に伝えます。
知識へ戻す:予防・早期発見や治療・支え合いのうち、知ったこととできる行動を一つずつ。
先生自身の話を入れるなら・配慮
家族の病気を語らせなくても身近にできます。教師も患者の生き方を評価せず、本人の希望に沿う支援へつなぐ問いを選びます。
中2保健の全体像|今は「がんとその予防」
東京書籍・令和7年度版2年の公開指導計画を例にした位置の案内です。全国共通の順序・実施月ではなく、出版社や学校で区切りが異なります。体育理論はこの一覧に含めていません。
健康な生活と疾病の予防②|8つの項目
- 1 生活習慣病の起こり方
- 2 生活習慣病の予防
- 3 がんとその予防〈今ここ〉
- 4 喫煙の害と健康
- 5 飲酒の害と健康
- 6 薬物乱用の害と健康
- 7 薬物乱用の社会的な影響
- 8 喫煙・飲酒・薬物乱用への対処
もう一つのまとまり|傷害の防止
- 1 傷害の発生要因
- 2 交通事故の発生要因
- 3 交通事故の危険予測と回避
- 4 犯罪被害の防止
- 5 自然災害による危険
- 6 自然災害による傷害の防止
- 7 応急手当の意義と方法
- 8 心肺蘇生法とAED
教科書のどこで使う?
| 出版社・令和7年度版〜 | 公開計画・構成表での関連位置 |
|---|---|
| 東京書籍 新編 新しい保健体育 | 2年・保健編4章(3)がんの予防 p.94〜95 |
| 大修館書店 最新 中学校保健体育 | 2年・保健③(3)がんとその予防 p.84〜85、(4)早期発見とその回復 p.86〜87にも関連 |
東京書籍|令和7年度版・2年の年間指導計画/大修館書店|令和7年度〜・教科書の構成と内容で確認。教科書本文の全頁を閲覧したものではありません。名称・順序・配当時間は採択版と学校の年間計画を優先してください。
中心の問い|予防に取り組めば、がんには絶対ならないのだろうか。なった人へ、どんな理解が必要だろう。
丸い細胞をいくつか描き、一部に形や増え方の違う丸を足します。「人全体の見た目ではなく、体の中の細胞の話だよ」と確認し、教科書の図へつなげます。
がんは異常な細胞が増殖する病気です。生活習慣を含む様々な要因が関わり、予防に努めても全てのがんを防げるわけではありません。普通に一緒に生活することで、がんそのものがうつるわけではありません。
適切な生活習慣、年齢や対象に応じた予防・検診、早期発見と治療の意味を扱います。「予防しなかったからなった」とは説明せず、治療中の生活や支援も大切にします。
内容の範囲:現行解説・冊子p.211〜212。発問・架空の条件・板書構成は体育.netの提案です。
- 普通の細胞を丸で表す。
- 異常な細胞の増殖を別の丸の集まりで示す。実物の色・大きさではない模式図と添える。
- その外に人と支える人を描き、病気のしくみと人への理解を両方残す。
体育.net作成の板書例。人・物・矢印を簡略化した概念図で、医学的な構造図や実際の地図、処置の手順図ではありません。描くことが難しい場合は、印刷して指し示す方法でも使えます。
使う紙面が分かる|公式資料のプレビュー

複数の要因に注目します。生活習慣だけで全てを防げるという意味ではありません。古い資料の数字や成人向けの推奨を、そのまま中学生に当てはめないでください。
参考動画|文科省|がん教育に関するインタビュー動画1
病気のしくみを説明する動画ではなく、患者・経験者の思いを考える補助資料です。教師が事前に全体を確認し、学級の事情に応じて使う部分や視聴の可否を判断します。
公式の掲載元は末尾の参考資料に記載。教師が事前に内容と使う場面を確かめ、必要な場面で止めて問い直します。全編再生確認や将来の再生を保証するものではありません。再生できない場合も、教科書と図解で進められます。
「知っている」を、条件に合わせて使う
架空の人物が「生活に気を付けていたのに、がんになった」と話している。
「もっと気を付ければよかった」と答える。
追加で分かったこと
がんには生活習慣だけでは説明できない要因もある。
予防の限界を理解し、本人の希望を確かめながら、必要な支援を考える。
理由を一言で
病気の知識を、患者を責めない理解と行動へつなげている。
正解の言葉を当てるだけで終わらせず、図の一か所を指して理由を説明できるようにします。話しにくい場合は、矢印や短い文をノートへ足す方法で構いません。
そのまま組み替えられる50分の授業例
| 時間 | 活動 | 教師の働き掛け・見取ること |
|---|---|---|
| 5分 | 実感のある問いから入る | 絶対ではない。でも、できることはある。この二つは、両立するかな? |
| 8分 | 教科書の言葉で確かめる | 最初の問いを、教科書のどの知識で考えられるかを確かめる。 |
| 10分 | 資料で見方を増やす | 事前に選んだ映像の場面・紙面を提示し、気付きを一つ図へ足す。 |
| 15分 | 架空の条件で使ってみる | 細胞の図と資料を確かめ、二枚の極端な言い方を、生徒自身の一文へ書き換える。患者・経験者の映像を使うときは、視聴しない選択も先に伝えます。 |
| 8分 | 理由を伝え、見直す | 予防・早期発見や治療・支え合いのうち、知ったこととできる行動を一つずつ。 |
| 4分 | 振り返り | がんの基本的なしくみと予防の意味を述べ、全てを防げないことや患者への配慮を説明できる。 |
配当時間や既習内容に合わせて調整します。読む・描く・話すのいずれでも考えを示せるようにし、ノートの絵の上手さや家庭事情で評価しません。
ノートに残すのは、絵・理由・次の一手
□ 絵のどこが、教科書の説明とつながるか。
□ 架空の場面に合う案と、その理由は何か。
□ 自分だけでは難しいとき、どんな支援を使えるか。
この時間で見取りたい姿
がんの基本的なしくみと予防の意味を述べ、全てを防げないことや患者への配慮を説明できる。
最初の答えと、資料を見た後の答えを並べ、何が加わったかを短く書きます。絵の巧さ、発言回数、実生活が理想に近いかを点数化するのではありません。
安心して学べる準備と配慮
家族のがん・死別・治療歴を話させません。事前に内容を伝え、視聴や参加方法を個別に選べるようにします。罹患や死亡を強調する画像は避け、養護教諭等と配慮を確認します。
授業の前に養護教諭や関係する教職員と配慮・相談経路を確認し、個別の病状や家庭の事情は全体で共有させません。授業参加が難しい生徒には、別の架空事例や観察課題などの選択肢を準備します。
参考資料と確認範囲
- 文科省|中学校学習指導要領解説・保健体育編
- 文科省|がん教育・補助教材
- 文科省|外部講師を活用したがん教育ガイドライン
- 文科省|がん教育・インタビュー映像教材(2024年)
- 国立がん研究センター|がんという病気について
- 厚労省|がん予防・予防の限界も含めて
- 文科省|スライド教材・がんの予防
資料の掲載・構成・リンクを2026年11月4日に確認。動画は公式掲載元との対応を確認していますが、全編の再生・字幕の照合や、全端末での再生確認を済ませたという意味ではありません。最新の制度・指針・学校の方針は使用前に再確認してください。