中2/保健/傷害の防止/4 犯罪被害の防止
- 怖い事件を見せるだけの授業になりそう。
- 「断ればよい」と言うと、断れなかった被害者を責めてしまう。
人と人の間に線を引く。「相手の希望を確かめる」「嫌なことはしない」から始めます。
棒人間や身近な物を描き、絵を指して問い、教科書の言葉で確かめる授業案です。板書は完成図を写すだけでなく、生徒の考えを描き足して使います。
筆者の実践を記した部分と、資料に基づく授業提案を分けて紹介します。台詞・架空条件・時間配分は再構成した例で、文科省・出版社の指定授業案ではありません。
授業提案
「友達だから大丈夫?」架空のメッセージを一枚
架空のスマホ画面に「写真を送って。ほかの人には言わないで」とだけ書きます。教師は送り主を演じて圧力をかけず、メッセージのどこが気になるかを尋ねます。
仲のよい相手でも、嫌と言いにくいことはある。本人だけに「断って」と任せていいかな?
生徒が動く場面へ
「本人が選べること」と「周りが支えられること」を二色で書く。話すのが難しければ、用意した相談先カードを選ぶ参加方法でも構いません。
知識へ戻す:断れなかった人の責任ではないことを確かめ、安全と相談につながる案を残す。
先生自身の話を入れるなら・配慮
この題材では、教師の被害体験や怖い事件を必ず語る必要はありません。架空事例と参加の選択肢だけでも、自分の安全を考える授業にできます。
中2保健の全体像|今は「犯罪被害の防止」
東京書籍・令和7年度版2年の公開指導計画を例にした位置の案内です。全国共通の順序・実施月ではなく、出版社や学校で区切りが異なります。体育理論はこの一覧に含めていません。
傷害の防止|8つの項目
- 1 傷害の発生要因
- 2 交通事故の発生要因
- 3 交通事故の危険予測と回避
- 4 犯罪被害の防止〈今ここ〉
- 5 自然災害による危険
- 6 自然災害による傷害の防止
- 7 応急手当の意義と方法
- 8 心肺蘇生法とAED
もう一つのまとまり|健康な生活と疾病の予防②
- 1 生活習慣病の起こり方
- 2 生活習慣病の予防
- 3 がんとその予防
- 4 喫煙の害と健康
- 5 飲酒の害と健康
- 6 薬物乱用の害と健康
- 7 薬物乱用の社会的な影響
- 8 喫煙・飲酒・薬物乱用への対処
教科書のどこで使う?
| 出版社・令和7年度版〜 | 公開計画・構成表での関連位置 |
|---|---|
| 東京書籍 新編 新しい保健体育 | 2年・保健編3章(4)p.74〜75 |
| 大修館書店 最新 中学校保健体育 | 2年・保健④・特集資料 p.108〜109(独立した第4項ではありません) |
東京書籍|令和7年度版・2年の年間指導計画/大修館書店|令和7年度〜・教科書の構成と内容で確認。教科書本文の全頁を閲覧したものではありません。名称・順序・配当時間は採択版と学校の年間計画を優先してください。
中心の問い|嫌と言えないときや、言っても伝わらないときもある。安全と助けをどう確保するだろう。
棒人間を二人、少し離して描きます。「写真を送ってほしいと言われた」という架空のメッセージを足し、同意・距離・相談の三つへ話を広げます。
犯罪や暴力の責任は加害行為をした側にあります。服装や行動、断れたかどうかで被害者の責任を論じる授業にはしません。
対策は一人の勇気だけに任せず、距離を取る、身近な大人に相談する、周囲が助けにつなぐことまで考えます。生命の安全教育は性暴力に関する補助資料で、犯罪全般を網羅するものではありません。
内容の範囲:現行解説・冊子p.219〜222。発問・架空の条件・板書構成は体育.netの提案です。
- 二人を描き、その間に「相手の意思」の線を置く。
- 「嫌と言えないこともある」という吹き出しを足す。
- 別の大人を描き、本人からも周囲からも相談につながる矢印を引く。
体育.net作成の板書例。人・物・矢印を簡略化した概念図で、医学的な構造図や実際の地図、処置の手順図ではありません。描くことが難しい場合は、印刷して指し示す方法でも使えます。
使う紙面が分かる|公式資料のプレビュー

距離感と相談を扱う紙面です。「断れなかった人が悪い」と読ませず、被害にあった人に責任はないことを授業で補います。
参考動画|文科省|もし性的な暴力の被害にあったら(中学校)
生命の安全教育・中学校の第3章です。性暴力を含むため、教師は事前に内容を確認し、視聴しない選択と相談経路を準備します。犯罪全般の導入映像として一律に見せるものではありません。
公式の掲載元は末尾の参考資料に記載。教師が事前に内容と使う場面を確かめ、必要な場面で止めて問い直します。全編再生確認や将来の再生を保証するものではありません。再生できない場合も、教科書と図解で進められます。
「知っている」を、条件に合わせて使う
架空のSNSで、知り合いから個人的な写真を求められた。
「嫌なら断ればいい」とだけ助言する。
追加で分かったこと
関係が悪くなる不安や、脅されている事情があるかもしれない。
写真を送らない選択、安全な距離、信頼できる大人への相談を一緒に考える。
理由を一言で
断る技能だけでなく、断りにくさと周囲の支援に目を向けている。
正解の言葉を当てるだけで終わらせず、図の一か所を指して理由を説明できるようにします。話しにくい場合は、矢印や短い文をノートへ足す方法で構いません。
そのまま組み替えられる50分の授業例
| 時間 | 活動 | 教師の働き掛け・見取ること |
|---|---|---|
| 5分 | 実感のある問いから入る | 仲のよい相手でも、嫌と言いにくいことはある。本人だけに「断って」と任せていいかな? |
| 8分 | 教科書の言葉で確かめる | 最初の問いを、教科書のどの知識で考えられるかを確かめる。 |
| 10分 | 資料で見方を増やす | 事前に選んだ映像の場面・紙面を提示し、気付きを一つ図へ足す。 |
| 15分 | 架空の条件で使ってみる | 「本人が選べること」と「周りが支えられること」を二色で書く。話すのが難しければ、用意した相談先カードを選ぶ参加方法でも構いません。 |
| 8分 | 理由を伝え、見直す | 断れなかった人の責任ではないことを確かめ、安全と相談につながる案を残す。 |
| 4分 | 振り返り | 断れなかった人を責めず、安全確保と相談につながる対応を提案できる。 |
配当時間や既習内容に合わせて調整します。読む・描く・話すのいずれでも考えを示せるようにし、ノートの絵の上手さや家庭事情で評価しません。
ノートに残すのは、絵・理由・次の一手
□ 絵のどこが、教科書の説明とつながるか。
□ 架空の場面に合う案と、その理由は何か。
□ 自分だけでは難しいとき、どんな支援を使えるか。
この時間で見取りたい姿
断れなかった人を責めず、安全確保と相談につながる対応を提案できる。
最初の答えと、資料を見た後の答えを並べ、何が加わったかを短く書きます。絵の巧さ、発言回数、実生活が理想に近いかを点数化するのではありません。
安心して学べる準備と配慮
事前に扱う内容を知らせ、見る・話すことが難しい生徒には別課題や個別相談の選択肢を用意します。被害の再現や強制ロールプレイはしません。相談を受けたら「誰にも言わない」と約束せず、学校の支援手順でつなぎます。
授業の前に養護教諭や関係する教職員と配慮・相談経路を確認し、個別の病状や家庭の事情は全体で共有させません。授業参加が難しい生徒には、別の架空事例や観察課題などの選択肢を準備します。
参考資料と確認範囲
資料の掲載・構成・リンクを2026年11月4日に確認。動画は公式掲載元との対応を確認していますが、全編の再生・字幕の照合や、全端末での再生確認を済ませたという意味ではありません。最新の制度・指針・学校の方針は使用前に再確認してください。