「何をさせれば“多様な動きをつくる運動”になるの?」
「場をたくさん作ると、説明だけで時間が終わってしまう」
「苦手な子も、自分で選んで取り組める授業にしたい」
小3・4の体つくり運動は、動きの正解を一つに決める授業ではありません。バランス・移動・用具操作・力試しを、子どもが選んだり組み合わせたりしながら、基本的な動きを幅広く身に付けていく時間です。
最初の1時間は、四つの動きを短く試した後に、「好きな三つをつないで自分のコースをつくる」時間を取ると進めやすくなります。活動の量を増やしすぎず、選ぶ・つなぐ・友達の工夫を見つけることを授業の中心にしましょう。
この記事でわかること
- 小3・4「多様な動きをつくる運動」で押さえる四つの動き
- 45分でできる授業の流れと、場のつくり方
- そのまま使える教材5点セットと声かけ
- 安全面と、苦手な子が参加しやすい変え方
まず確認したい公式資料
スポーツ庁の手引では、中学年の多様な動きをつくる運動を、体のバランスをとる・体を移動する・用具を操作する・力試しの四つの動きと、それらを組み合わせる運動として示しています。
この授業例は、最初に四つの動きを体験し、後半に自分で組み合わせる45分です。単元全体では、子どもの実態に合わせて場や組合せを変えながら、3・4年の2学年間で繰り返し扱います。
画像をクリックすると、スポーツ庁の公式PDFが開きます。
授業前に見せる公式動画
出典:文部科学省「小学校中学年体育~03 多様な動きをつくる運動」。場のイメージをつかむために、授業前に短く見せる使い方がおすすめです。
今日のめあて
いろいろな動きを見つけて、三つつないだ自分のコースをつくろう。
「速い」「難しい」よりも、自分に合う動き方を選び、友達の工夫をまねして広げることを大切にします。
1時間の流れ(45分の目安)
| 時間 | 活動 | 先生が見ること |
|---|---|---|
| 5分 | 集合・健康観察・今日のめあてと安全の確認 | 一方通行・待つ場所・用具の使い方が分かっているか |
| 5分 | 準備運動「まねっこ4動作」 | 止まる・移動する・投げる・押すを短く試す |
| 16分 | 四つの場を4分ずつ回る | 無理のない難しさを選べているか |
| 10分 | 好きな三つをつないで「自分コース」をつくる | 動きの順番や用具の置き方を工夫できているか |
| 5分 | 友達のコースを一つ試す | よい工夫を言葉にできるか |
| 4分 | ふり返り・片付け | 安全にできたこと、次に試すこと |
四つの場のつくり方
1. バランス島|止まる・回る
用具:床のライン、フラフープ、低いマット
- ラインの上をゆっくり歩いて、3秒ピタッと止まる
- フラフープの中で片足立ち、向きを変える
- マットの島から島へ、落ちないように移る
声かけ:「目線はどこに置くと止まりやすい?」「腕はどうするとぐらつきにくい?」
2. 移動ゾーン|走る・跳ぶ・くぐる
用具:平置きのフラフープ、コーン、低いゴムひもまたはソフトマーカー
- フープをケンパで進む
- コーンをジグザグに走る・サイドステップで進む
- 低いマーカーをまたぐ、くぐる
声かけ:「自分がぶつからずに進める速さは?」「次は、向きを変えてみよう。」
3. 用具操作コーナー|転がす・投げる
用具:やわらかいボール、的、フープ
- ボールを転がしてフープの中を通す
- 近い的・遠い的を選んで投げる
- 転がす・投げるをつないで次の場所へ進む
声かけ:「どの距離なら成功しそう?」「転がすとき、手はどこまで出す?」
4. 力試しコーナー|押す・運ぶ
用具:大きめのやわらかいボール、軽いマット、段ボール箱など安全な軽量物
- 二人で大きなボールを決めた場所まで運ぶ
- 軽いマットを二人で押して、ラインまで動かす
- 力の入れ方を変えて、まっすぐ運べるか試す
声かけ:「二人の息を合わせるには?」「急がず、周りを見て進もう。」
授業でそのまま使える教材5点セット
1. 動きをえらぶカード
好きな動きに○を付けます。
- バランス:止まる/回る
- 移動:走る/跳ぶ/くぐる
- 用具操作:転がす/投げる
- 力試し:押す/運ぶ
子どもへの一言:「できそうな動きを一つ選んでから、もう一つ増やそう。」
2. 自分コースカード
①____ → ②____ → ③____
- 最初にする動き:____
- 次にする動き:____
- 最後にする動き:____
子どもへの一言:「三つの動きを、止まらずにつなげられる順番にしよう。」
3. 安全カード
- 動く前に、前と横が空いているか見る
- 使っていない用具は、走る道に置かない
- 友達の番を待つ場所を決める
- 難しいと感じたら、やさしい場に変える
子どもへの一言:「安全にできることも、よい動きの一つです。」
4. 友達のよい工夫カード
見つけたら一つ選びます。
- 動きの順番が分かりやすかった
- 自分に合う難しさを選んでいた
- 用具を安全に使っていた
- 友達と声をかけ合っていた
5. ふり返りカード
- できた・見つけた動き:____
- 自分コースで工夫したこと:____
- 友達からまねしたい動き:____
- 次に試したい動き:____
安全面で必ず確認すること
- 移動する方向をそろえ、逆走しない
- 一つの場に子どもを集めすぎない。待つ場所を見える形で示す
- 転がす・投げる方向の先に、人が入らないようにする
- フープ・マーカー・マットのずれを活動中にも直す
- 押す・運ぶ活動は、重い物や速い競争にしない。相手の力や体に直接抵抗をかけない
苦手な子が参加しやすくなる変え方
| 困りごと | 変え方 |
|---|---|
| 動きを選べない | 最初の一つだけ教師が示し、「できたら別の動きに変えてよい」と伝える |
| バランスが難しい | 片足ではなく両足、狭いラインではなく広いマットから始める |
| 投げるのが不安 | 近い的・大きい的・転がす動きから選べるようにする |
| 友達と関わるのが苦手 | 一人で試す→二人で見合う→一緒に運ぶ、の順に段階をつくる |
教材研究に役立つ本
- 子どもの体力・運動能力がアップする体つくり運動&トレ・ゲーム集
体つくり運動の活動例を、学年やねらいに合わせて広げたい先生向け。 - 小学校3年 イラストで見る全単元・全時間の授業のすべて 体育
3年生の単元の流れや板書・授業展開まで確認したい先生向け。 - 教材に「しかけ」をつくる 体育授業10の方法
全員が入りやすい場や、活動を広げる工夫を考えたい先生向け。
個別相談のご案内
体育の授業づくりや、学級の実態に合わせた活動の変え方を一人で整理しにくいときは、個別相談をご利用ください。
