「クロールと平泳ぎを、同じ時間でどう扱えばいい?」
「泳力差が大きくて、待つ時間が増えてしまう」
「バディを形だけで終わらせず、安全まで学ばせたい」
小5・6の水泳運動では、手や足の動きと呼吸を合わせ、自分に合った泳ぎ方で続けて長く泳ぐことを目指します。泳法を一斉にそろえるよりも、クロール・平泳ぎ・安全確保につながる運動を行き来しながら、それぞれの課題に合った場を選べるようにすると進めやすくなります。
最初の1時間は、安全確保につながる運動 → クロール・平泳ぎの練習レーン → 自分の課題を選ぶの順です。泳ぎ方を別々に教えるのではなく、浮く・息を吐く・伸びる感覚をつなげます。
この記事でわかること
- 小5・6「水泳運動」で押さえる学習の中心
- 45分でできる授業の流れと、練習レーンのつくり方
- そのまま使える教材5点セットと声かけ
- バディ・健康観察を含めた安全確認のポイント
まず確認したい公式資料
スポーツ庁の高学年用資料では、クロール・平泳ぎに加え、安全確保につながる運動を扱います。手足の動きと呼吸を合わせて続けて泳ぐこと、背浮きや浮き沈みなどを通して水の中で自分の体をコントロールすることが示されています。
ここでは、学校の水深・人数・監視体制に合わせることを前提に、初回から使いやすい活動を絞っています。学校や自治体の水泳指導計画・安全基準がある場合は、必ずそちらを優先してください。
スポーツ庁の高学年「水泳運動」公式資料
クロール・平泳ぎ・安全確保につながる運動
手足と呼吸を合わせ、続けて長く泳ぐ
かく・ける・のびるをつなげる
背浮き・浮き沈みで体をコントロールする
授業で扱う動きや単元計画は、下のボタンから原本で確認できます。
授業前に見せる公式動画
出典:文部科学省「小学校高学年体育~11 水泳」。安全の約束や、学習を進めるイメージを共有するために短く使います。
今日のめあて
自分に合う泳ぎ方を選び、バディと安全を確かめながら、続けて長く泳ごう。
「速く泳ぐ」よりも、息を止めずに浮く・伸びる・休むことを意識します。
1時間の流れ(45分の目安)
| 時間 | 活動 | 先生が見ること |
|---|---|---|
| 5分 | 健康観察・バディ確認・今日の約束 | 体調、水慣れの状態、二人組と見守り方 |
| 5分 | シャワー・入水・水慣れ | 合図で入水・集合できるか |
| 8分 | 背浮き・浮き沈み・けのび | 息を吐けているか、無理をしていないか |
| 18分 | 三つの練習レーンから選ぶ | 自分に合う距離・課題を選べているか |
| 5分 | バディのよさを伝える | 見たことを短い言葉で伝えられるか |
| 4分 | ふり返り・退水 | 体調の変化と、次に試すこと |
三つの練習レーンのつくり方
1. クロールレーン|息を吐いて、前に伸びる
活動:壁を蹴ってけのび → 片手を前にしてバタ足 → 息を水中で吐く → 自分に合う距離を選ぶ。
声かけ:「顔を上げる前に、水の中でゆっくり吐けている?」「手をかく前に、体を長く伸ばせている?」
変え方:距離を短くする、板を使う、壁から始める。泳ぐ方向と退水する場所を固定します。
2. 平泳ぎレーン|かく・ける・のびる
活動:壁につかまって足の裏で水を後ろへ押す → 浅い場所で「かく・息をする・ける・のびる」をゆっくり試す → 自分に合う距離を選ぶ。
声かけ:「足で水を後ろへ押したあと、体を細長くできている?」「急がず、のびる時間をつくろう。」
変え方:足だけ・手だけ・全体を選べるようにします。泳ぐ距離を競わせません。
3. 安全レーン|浮く・休む・助けを呼ぶ
活動:背浮きで呼吸を整える → けのびから立つ → 浮き沈みをして、落ち着いて壁へ戻る。水深に合った場所で、教師の監視が届く範囲だけで行います。
声かけ:「苦しくなったら、まずあおむけで呼吸を整えよう。」「一人で続けず、困ったら手を上げて伝えよう。」
変え方:背浮きが不安な子は、壁の近く・補助具・短い時間から始めます。
授業でそのまま使える教材5点セット
1. 健康・バディ確認カード
入る前に二人で確認:
- 今日の体調は大丈夫
- バディの名前を言える
- 困ったときの合図を知っている
- 入水・退水の場所を知っている
子どもへの一言:「泳ぐ前に、二人で安全をつくろう。」
2. 練習をえらぶカード
今日選ぶのは一つ:
- クロール:水中で息を吐いて、前に伸びる
- 平泳ぎ:けったあとに、体を長くする
- 安全:背浮き・浮き沈みで落ち着いて呼吸する
次に試すこと:__________
3. 安全カード
- 合図があるまで入らない・出ない
- 飛び込まない、ふざけて押さない
- 一人で練習しない。バディを確認する
- 苦しい・寒い・気分が悪いときは、すぐに伝える
子どもへの一言:「安全に休めることも、水泳の力です。」
4. バディ観察カード
よかったところを一つ選びます。
- 水の中でゆっくり息を吐いていた
- けったあとに長く伸びていた
- 自分に合う距離を選んでいた
- 困ったときに無理をせず、合図を出せていた
5. ふり返りカード
- 今日できたこと:__________
- バディのよかったところ:__________
- 次に選びたい練習:__________
安全面で必ず確認すること
- 水泳実施の可否、児童の健康状態、プールの水深・水温・施設の状態は、学校の基準に従って毎時間確認します。
- 教師が全員を見渡せる人数・範囲に区切り、バディ確認は補助ではなく授業の最初と最後に必ず行います。
- 飛び込み、息止めの競争、押す・沈めるなどの活動は扱いません。
- 「寒い・苦しい・気分が悪い・怖い」を伝えた児童は、すぐに退水・休憩できる約束にします。
- 本記事の活動は一般的な授業案です。地域・学校の安全管理マニュアル、監視体制、児童の実態を最優先してください。
教材研究に役立つ本
- 6年間で泳げるようにする!小学校の水泳指導
学年別の指導計画、授業展開例、安全面までまとめて確認したい先生向け。 - 水泳の授業づくり
子どもの「感じ」と「気づき」を軸に、水泳授業の組み立てを考えたい先生向け。 - ペア・グループの力でみんな泳げる!水泳指導アイデア事典
バディ・見合い・声かけを授業に生かしたい先生向け。
個別相談のご案内
水泳授業の場づくりや、安全の約束、泳力差に合わせた活動の分け方を学校の実態に合わせて整理したいときは、個別相談をご利用ください。