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【中学校バレーボール】アタックから始める10時間の単元計画|初心者を3段攻撃へつなぐ授業実践

バレーボール授業で、こんなことはありませんか

  • パス練習が長くなり、生徒が「バレーらしい楽しさ」を感じる前に単元が終わる
  • 初心者同士ではトスが安定せず、ほとんどアタックを打てない
  • ゲームをしても、1本で相手コートへ返すだけになりやすい
  • ネットが少なく、待ち時間の長い練習になってしまう

結論から言うと

単元の最初から、初心者にも「ネットより高い位置でボールを打つ楽しさ」を経験させます。第1・2時は、投げボールから直上アタックまで7段階を一巡。生徒のトスが安定しない間は教師が打ちやすいボールを連続して上げ、本数を確保します。その後もアタックを毎時間残しながら、アンダー・オーバー、チャンスボール、三段攻撃へつなげます。

✓ この記事でわかること

  • アタックから入る7段階の練習と、3つの場のつくり方
  • 第1時に7段階を一巡する50分授業の流れ
  • 復習を重ねながら三段攻撃へつなぐ10時間の単元モデル
  • 教師のトス、待ち時間、安全管理で外さないポイント
  • 授業でそのまま提示できる5つの確認カード
  • 学習指導要領との対応、公式PDF・動画資料の選び方

この記事は、中学校でバレーボールを担当する先生向けの授業実践例です。筆者の実践を、現在の学習指導要領解説と公式資料に照らして再構成しています。授業では、学校の年間指導計画、体育館・ネット・支柱の状況、学級人数、生徒の経験差と健康状態に合わせて、ネットの高さ、ボール、人数、回数、ゲーム条件を調整してください。

この授業案の出発点

筆者はバレーボール経験を生かし、パスを長く積み上げてからゲームへ進むのではなく、最初にアタックの感覚と楽しさをつくる順序で授業を行っていました。生徒が安定したトスを上げられない段階では、教師が打点へ低めのトスを連続して供給します。これは学習指導要領の標準手順ではなく、初心者の運動量と意欲を確保するための一つの実践例です。

アタックから始める授業の全体像

順番は「投げる→高い位置で両手→高い位置で片手→短い助走→自分で上げる→壁で打つ→ネットで反復」です。一つの技能を一時間かけて終えるのではなく、第1・2時に1〜7を一巡し、全体像を先に経験させます。

場A|ネット対面・2人組

1 投げボール

2 ボレー両手アタック

3 ボレー片手アタック

4 1・2・アタック

場B|1人・壁際

5 直上スロー

6 インパクト練習

場C|ネット3か所

7 直上アタック

3列で回し、打つ本数を確保

授業での示し方

「今日はアタックの4番」「次は表の7番」と番号で示します。技能名だけで探させるより早く、生徒と先生が同じ練習表を持てば、説明と移動を短くできます。

7段階のアタック練習|何をねらうか

練習 行い方 先生が見ること
1 投げボール
2人・ネット対面
投げ手はアタックライン付近、打者はネット際。両手下投げで、ネット上およそ50cmを通る山なり過ぎないボールを、打者の高い打点へ送る。 強く投げつけず、相手が高い位置で触れられる高さ・速さ・方向か。
2 ボレー両手アタック 相手の投げボールに合わせ、両手を上げて高い位置で押し返す。 顔の前ではなく、肘が上がった高い位置で触れているか。
3 ボレー片手アタック 最初は両手を上げ、ボールに合わせて片手で打つ。 利き手だけを早く振らず、打点へ両手を準備できているか。
4 1・2・アタック 投げボールに短い2歩の助走を合わせ、「1・2・アタック」のリズムで打つ。 助走を大きくし過ぎず、打った後に着地を止められるか。
5 直上スロー
1人・壁際
バスケットゴール程度の高さを目安に、前後へ流れない投げトスを上げる。 移動距離を小さくし、同じ位置へ繰り返し上げられるか。
6 インパクト練習
壁打ち
肘を高く保ち、手のひらでボールを捉えて壁へ打つ。 肩に無理な力が入らず、肘が下がっていないか。
7 直上アタック
ネット3か所
ネットを横に3分割して3列で回す。トスに合わせて1・2・アタックを反復する。 隣の列へ入らず、着地後に前へ流れ過ぎていないか。

※「ネット上約50cm」「バスケットゴール程度」は、筆者が授業で生徒へ伝えていた目安です。ボール、ネット高、経験差、体育館の状況に合わせて調整してください。

図で確認|1〜4の投げボールと、7のトスは別の練習

ここが文章だけでは混同しやすい点です。1〜4は、投げ手がアタックライン付近、打者が反対コートのネット際に立ちます。投げ手は両手下投げで、ふんわり高く上げるのではなく、打者が高い位置で触れられるボールを斜め上へ送ります。

投げ手がアタックライン付近からネット際の打者の高い打点へライナーボールを送る配置図

ここでいう「ライナーボール」

速い球を強く投げつけるという意味ではありません。大きな山をつくらず、打者の高い打点へ安定して届く軌道です。投げる人も、相手が次に扱いやすい位置へ送る練習をしています。

7は、教師または生徒がネット際で手投げのトスを上げ、打者が短い「1・2」の助走から入る一般的なアタック練習です。トス役は打者の助走線の外側に立ちます。生徒のトスが安定しない間は、教師が担当します。

ネット際の手投げトスを打者が1・2の助走から打つアタック練習図

ネット1面を3か所に分ける|待ち時間を減らす場づくり

ネット1面を横に3分割し、3列を同じ向きに動かすと打数を確保できます。打つ側は、1列につき「上げ手・打者・次の人」の3人組。反対コートには回収班を置き、打球を集めてネット足元を空けます。連続練習中に打者がネット下をくぐって回収する形にはしません。

ネット1面を3列に分け、打つ側の3人組と反対コートの回収班を配置する上面図

ネットが2面あれば、この場を2組つくり、3人組6列と回収班6組で36人全員に役割を持たせる例も考えられます。教師は支援が必要な列でトスを供給し、ほかの列は生徒の上げ手で進めます。打つ側と回収班は合図で交代します。

3列にしたら、先に決めること

□ 打つ方向 □ 着地する範囲 □ ボールを拾う通路 □ 次の人の待機線 □ ボール回収の合図。隣の列へボールや生徒が入ったら、全列を止めてから回収します。

第1時|7段階を一巡する50分

第1時は完成度を求めません。「こうやってアタックへつながる」と全体を経験させる時間です。ネットや支柱の準備に時間がかかった場合は、6・7を第2時へ回しても構いません。

時間 生徒の活動 先生の声かけ・見ること
0〜5分 集合、健康、服装、床、支柱・防護材、ボール、停止合図を確認 「隣の列にボールが入ったら追わない。合図で全員止まる」
5〜9分 ウォームアップ、肩・手指・足首、1・2の助走リズム ジャンプの高さより、バランスよく止まる着地を見る
9〜19分 1 投げボール → 2 両手 → 3 片手 「相手が打ちやすいボールが、よい投げボール」/高い打点へ両手を準備できているか
19〜27分 4 1・2・アタック 「大きく走らない。1・2・打つ・止まる」/ネット下へ流れないか
27〜34分 5 直上スロー → 6 壁へのインパクト トスが前後へ流れないか。肩を無理に振らず、肘を高く保てるか
34〜46分 7 3列の直上アタック 教師または安定して上げられる生徒がトス。成功率より安全な着地と打数を確保
46〜50分 片付け、学習日・チェック、振り返り 「一番打ちやすかったボールは、どんな高さ・位置だった?」

第2時は同じ1〜7を、もう一度

新しい説明を増やすより、同じ順番を短く再確認して打つ本数を増やします。生徒の投げボールが安定した組は自分たちで進め、難しい組は教師トスの列へ。全員を同じ到達点にそろえるのではなく、同じ流れの中で支援量を変えます。

教師のトスで「打てない時間」を減らす

アタック練習で詰まりやすいのは、打ち方より先にトスが打点へ来ないことです。初期段階では、トスまで生徒任せにすると、アタックする生徒が一度も気持ちよく打てないまま交代することがあります。

教師が打点へ低めのトスを連続して上げる

  1. 打者はネット際の決めた開始位置へ入る
  2. 教師は「1」で腕が後ろへ振られ、「2」で踏み切れるよう、打点へトスする
  3. 生徒は「1・2・アタック」で打ち、着地を止めて列の外へ抜ける
  4. 次の生徒へテンポよく繰り返す

教師がすべてを担い続ける必要はありません。安定して上げられる生徒が出てきたら役割を交代し、直上スローの5番へ戻して「次の人が打ちやすいトス」を練習します。

毎時間の型|アタックを消さずに技能を足す

第3時以降も、アタックを「終わった技能」にしません。一度説明した練習を短いタイマーで復習し、アンダー・オーバー、レシーブ、トスを足します。復習サーキットはそれだけで1時間使う内容ではなく、既習技能を思い出してから本時のつながりやゲームへ入る導入です。

1|5分
安全・健康・用具・めあて
2|8〜12分
既習練習をタイマーで復習
3|10〜15分
本時のパス・レシーブ技能
4|15〜20分
つながりの練習・簡易ゲーム
5|5分
片付け・記録・振り返り

時間配分は一例です。技能が高まるほど「4」の時間を増やし、ゲームで出た課題に応じて2・3へ戻ります。

10時間の単元モデル|復習しながら三段攻撃へ

中心 授業のつなぎ方
1 オリエンテーション+アタック1〜7 安全・用具・停止合図を確認し、投げボールから直上アタックまで一巡する。
2 アタック1〜7の復習 同じ順番をもう一度。高い打点、1・2のリズム、着地を確かめ、打数を増やす。
3 アタック+アンダー・オーバー 打つ復習を残し、拾う・上げる技能を同じ時間に導入する。
4 アタック+パス反復 直上パスと対人パスを短時間で反復し、味方が次に触りやすい位置へ送る。
5 短い復習+チャンスボール 既習練習をタイマーで回してから、投げ入れたボールをレシーブし、次の人へつなぐ。
6 レシーブ→トス→アタック 3人組で1本目・2本目・3本目をつなぎ、できた組から残り時間に簡易ゲームへ入る。
7 三段攻撃+簡易ゲーム 役割を替えながら3回で返す流れを試す。無理に強打せず、返し方を選べるようにする。
8 ラリーを続けるゲーム 中1・2は次の人が触りやすくつなぐことを中心にし、アタックは打てる場面で選択する。
9 ゲーム→課題練習→ゲーム ゲームで見えた課題に応じて技能表の番号へ戻り、短く確かめて再びゲームへ。
10 ゲームと単元の振り返り 学年に応じたゲームを楽しみ、表面の技能と裏面の学習記録を振り返る。

※この10時間は固定の正解ではありません。体育館、ネット数、人数、経験差によって、同じ内容を2時間続けたり、ゲームへ移る時期を前後させたりします。「第3時だから次へ」ではなく、打点・着地・味方へのつなぎが安全にできているかで調整します。

復習サーキットの一例|タイマーで短く回す

単元中盤は、一度経験した練習だけを1分30秒〜2分のタイマーで切り替えます。その日に必要な3〜4種を選べば十分です。技能表の番号と場を対応させ、説明を繰り返さずに運動量を確保します。

① オーバー直上
1分30秒〜2分
② アンダー直上
1分30秒〜2分
③ 直上スロー
打ちやすいトスをつくる
④ 1・2のリズム
着地まで止める
⑤ 3列アタック
同じ方向へ打つ
移動・準備
種目間に約30秒

復習の後は、そのまま本時の「チャンスボール→レシーブ→トス」や三段攻撃、ゲームへ進みます。サーキットを行うこと自体が目的ではありません。

後半は「一つずつ増やす」

チャンスボール → レシーブ

チャンスボール → レシーブ → トス

チャンスボール → レシーブ → トス → アタック

中1・2と中3|学習指導要領との対応

この実践は「アタックを最初に経験させる」点に特徴がありますが、最終的にはネット型で求められる攻防へつなげます。投げボールの段階から「相手が次に扱いやすい高さ・位置へ送る」意図を学び、その後は同じ意図をアンダーハンドパスやオーバーハンドパスで実現していきます。現行の学習指導要領解説では、発達段階に応じて次のように示されています。

区分 公式資料の要点 この授業での位置づけ
中1・2 味方が操作しやすい位置につなぐ、空いた場所へ返す、肩より高い位置から打ち込む。打球に備え、定位置へ戻り、ボールや相手に正対する。 投げボールで「次の人が扱いやすい位置」を体験し、パス技能へ移す。アタックは練習するが、ゲームではラリーの継続を中心にし、必要なら1本目のキャッチ等で簡易化する。
中3 次のプレイをしやすい高さと位置へ上げる、ネット付近で防ぐ・打ち返す、ネットより高い位置から打ち込む。役割に応じて「拾う・つなぐ・打つ」。 三段攻撃とゲームを往復し、ポジションの役割、守備から攻撃への連続、簡単な作戦へ深める。

「アタックを練習する」と「最初からゲームで強打させる」は別です

中1・2では、アタックの楽しさを経験させつつ、ゲームの主課題はラリーの継続や空いた場所への返球に置けます。中3では、既習技能を役割のある連係へつなげます。同じ技能表を使っても、ゲームで求める深さを変えます。

授業前に見ておきたい公式資料

文部科学省の一覧表は、小5・6、中1・2、中3の違いを1ページで見比べられます。中1・2の「肩より高い位置から打ち込む」と、中3の「次のプレイをしやすい高さと位置へ上げる」「拾う・つなぐ・打つ」の関係を確認できます。

学習指導要領解説のネット型における小学校5・6年、中学校1・2年、中学校3年の技能例

文部科学省の公式PDFを開く

動画資料の使い方|この導入と同じ球出しかを確かめる

アタックやブロックの形が分かる動画でも、投げ手がふんわり高いボールを上げている場合は、この1〜4の見本にはなりません。見るポイントは、投げ手の位置、打者の位置、球の軌道、打点、助走、着地です。別の練習を無理に当てはめるより、動きは教師の示範・実技書と、この記事の図・チェック項目でそろえます。

公式動画は、場づくりや基本技能の確認資料として

スポーツ庁の中学校体育実技動画には、バレーボール授業の場づくりや活動例があります。ただし、この記事の「投げボール→両手→片手→1・2アタック」と同じ順序の見本ではありません。違いを理解した上で、教材研究の補助として参照してください。

スポーツ庁の中学校体育実技動画一覧を見る

安全面|打数を増やす前に動線をそろえる

授業前・活動中のSTOP基準

  • 支柱、床金具、ワイヤー、アンテナ、防護材、床の濡れを授業前に確認する。
  • ネットの下をくぐらない。相手コートや隣の列へボールを追わない。
  • 打つ方向、着地範囲、待機線、回収通路を先に示す。
  • 隣の列へ生徒・ボールが入ったら、その列だけでなく全体を止める。
  • ジャンプ後に人・ボール・支柱へ近づく配置なら、列数や人数を減らす。
  • 肩・肘・指・足首に痛みが出た生徒は打ち続けない。回数やボールを調整する。
  • 教師が連続トスをする際も、前の生徒が安全に抜けてから次を上げる。

ゲームが続かないときは、技能不足だけで判断しません。人数を減らす、ネットを下げる、コートを狭くする、サービス位置を前にする、1本目だけキャッチを認めるなど、学習課題が見える条件へ変えます。

記事内でそのまま使える5つのカード

印刷物が手元になくても、スマホやタブレットでこの画面を開けば、投影・説明・振り返りへそのまま使える文面にしています。

① 今日のめあて

高い打点へ両手を準備し、「1・2・アタック」のリズムで打った後の着地まで止めよう。

② 始める前の安全・役割カード

□ 支柱と床を確認した

□ 投げる・打つ・拾うを決めた

□ 打つ方向をそろえた

□ 隣の列へ入らない

□ 合図で全員止まる

③ 投げボール・トスカード

□ 相手の打点へ送った

□ 山なり過ぎない

□ 前後へ流れない

□ 同じ高さと位置へ続けて上げた

④ アタックを見るカード

□ 打点へ両手を準備した

□ 肘を高くした

□ 1・2のリズムで入った

□ 打った後に安全に止まった

⑤ 三段攻撃・振り返りカード

拾えた場面:____________

次の人が触りやすかったボール:____________

3回で打つために次に直すこと:____________

1枚の技能練習表を、生徒と先生が同じ地図として使う

授業では、表面に技能の順序、裏面に10時間分の学習記録を置いたA4両面の練習表を使っていました。生徒は右欄へ学習日やチェックを記録し、裏面へ本時の目標と振り返りを残します。先生も同じ表を持ち、「今日はアタックの4番」「前回の7番から確認」と番号で指示できます。

この記事で確認できる内容

7段階の練習、場づくり、第1時の50分、10時間モデル、教師トス、安全、カード、公式資料はこの記事内ですべて確認できます。

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参考資料

※本記事は授業づくりの参考情報です。「アタックから始める」順序、7段階の練習、教師トス、3列練習は筆者の実践例であり、唯一の指導方法ではありません。実施時は公式資料と校内の安全管理体制を確認し、施設、用具、人数、指導者の専門性、生徒の健康・技能・経験差に応じて判断してください。

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