ハードル走の授業で、こんな場面はありませんか。
- ハードルの手前で止まったり、足を細かく刻んだりする。
- 高さを怖がる生徒に、どんな練習を用意すればよいか迷う。
- 跳び越すことに精いっぱいで、走るリズムが続かない。
まずは「止まらずに、続けて走れた!」から。
低い障害物と自分に合う間隔で、走り越すリズムをつかみます。そこから振り上げ足・抜き足を確かめ、1台目への助走、連続したハードル走へつなげます。全員の高さや間隔をそろえることから始めなくて大丈夫です。
中学校の先生が、見せたい動画と練習の場をすぐ選べるようにまとめました。以下の6時間案やコース名は、公式資料を参考にした授業用の提案です。特定の学校で実施した記録ではありません。
低い障害物を続けて越える
動画・示範・仲間の助言
助走から最後まで走り切る
見たい動きから探す|ハードル走の動画一覧
最初は全体の動画で「越えたあとも走る」姿を共有します。その後は課題に合う1本だけ。動画を長く見続けるより、見る→一つ試す→もう一度確かめるを繰り返します。
掲載元:学研「学校教育ネット」体育実技・陸上競技。配信元のプレーヤーを埋め込んでいます。再生できないときは各動画のリンクを開いてください。
ハードリングとハードル間の走り
越えたあと、次の一歩へつながっているか。最初に全体像を見せる1本です。
振り上げ足の練習
先に越える足の動き。教師の示範と合わせ、無理なく動かせる高さで確認します。
抜き足|歩きながら
後から越える足をたたみ、前へ運ぶ動き。速さより、動かし方を確かめます。
抜き足|軽いランニングで
歩きで確かめた動きを、ゆっくりした走りにつなげます。
スタートから1台目まで
1台目の手前で細かな足踏みになっていないか。助走のリズムを見る動画です。
振り上げ足(リード脚)=先にハードルを越える足。
抜き足=後からハードルを越える足。
インターバル=ハードルとハードルの間。
足の形だけでなく、着地から次の走りへつながるところまで見ます。
自分の課題で選ぶ3つの練習コース
「できない人のコース」に固定せず、その日の課題で行き来します。高さを上げるだけが上達ではありません。同じ低さでも、リズムや動きの滑らかさを磨けます。
リズムコース
平面の目印→低い柔らかい障害物
まずは線や平たい目印を、歩きから軽い走りで通過。続いて倒れやすい教材用の低い障害物を2~3台。止まらず越えられる間隔を探します。
めあて:「越えたあとも足が続いた」
スムーズコース
低いハードルで、足の動きと連続走
教師が確認した高さで、振り上げ足・抜き足をゆっくり練習。できた動きを2~3台の連続走へ戻します。
めあて:「上に大きく跳ばず、次の走りへ」
チャレンジコース
助走から数台をリズムよく走り切る
1台目への入り方を安定させ、台数を増やします。高さを変える前に、同じ条件でリズムが続くかを確認します。
めあて:「最後まで同じリズムで走れた」
高さ・間隔・台数は、一つずつ調整する
まず教師が低い障害物で試走を見て、無理な大股や直前の足踏みが出ない間隔を決めます。その基準から少し短い・長いレーンを用意し、止めた時間に調整します。全員に競技用の高さ・間隔を当てはめません。
| 調整するもの | 授業での考え方 |
|---|---|
| 高さ | 怖さや大きな跳び上がりが出たら低くする。安全に越せる高さから始める。 |
| 間隔 | 無理に足を伸ばさず、同じ歩数・リズムを繰り返せる位置を探す。 |
| 台数 | 1台で動きを確認し、2~3台へ。疲れて動きが崩れたら減らす。 |
| 速さ | 歩きや軽い走りから。動きが安定してから徐々に上げる。 |
3歩でつなぐには、足を大きく広げるより自分に合う間隔を選びます。5歩など一定のリズムから練習する方法もあります。4歩では踏み切る足が交互になるため、両側で越える難しさも確認します。歩数だけを合否にせず、走りが途切れないかを見ます。
つまずきから選ぶ練習と声かけ
| 見えた姿 | まず変えること | 短い声かけ |
|---|---|---|
| 手前で止まる・怖がる | 平面の目印、低い柔らかい障害物へ戻す。1台だけにする。 | 「今日はこの低さで、続けて走ろう」 |
| 上へ大きく跳ぶ | 高さを下げ、越えたあとの一歩まで見る。 | 「高く跳ぶより、その先へ走ろう」 |
| 手前で足を細かく刻む | まず助走と1台目だけ。走り出す位置や間隔を教師と調整する。 | 「同じ出だしで、もう一度」 |
| 次の台まで大股で届かせる | 間隔を短くして試す。高さと間隔を一度に変えない。 | 「足を伸ばすより、リズムを続けよう」 |
| 抜き足が引っかかる | 低い位置で歩きの抜き足練習へ。教師が足の通り道を確認。 | 「後ろの足をたたんで、前へ運ぼう」 |
| 1台は越せるが連続すると崩れる | 2台に減らし、着地後の走りと間隔を確認。 | 「越えたあとにも、走りがあるよ」 |
踏み切りはハードルの直前になりすぎないようにします。ただし「全員ここから」と遠い位置を強制せず、低い障害物で安全に前へ進める位置を確かめます。細かな角度や距離の比率を全員に暗記させるより、教師が動きを判断する手がかりとして使います。
6時間の単元モデル|リズムから記録へ
時間数は授業案の一例です。初めから正式なコースを全力で走らせず、部分練習から全体へつなぎます。
| 時間 | 主な活動 | 見取るポイント |
|---|---|---|
| 1 | 全体像の動画、安全の約束、目印と低い障害物でリズム探し | 自分が取り組める条件を選ぶ |
| 2 | 振り上げ足・抜き足を確認し、2~3台へつなぐ | 着地から次の走りにつながる |
| 3 | 間隔を比べ、自分に合うリズムで連続走 | 一定のリズムを繰り返す |
| 4 | 助走から1台目。ペア観察や短い撮影で確認 | 1台目の前で失速しない |
| 5 | 台数を増やして全体走、課題別練習と確認走 | 課題に合う練習を選ぶ |
| 6 | 同条件で記録を比較、再挑戦、振り返り | タイムと動きの変化を説明する |
学習指導要領解説では、中1・2は50~80m・5~8台、中3は50~100m・5~10台程度が目安です。学校の広さや生徒の状態に応じて調整する前提であり、上の1~3台は部分練習です。文部科学省・保健体育編(冊子p.88、95)
最初の50分|低い障害物で「できそう」をつくる
| 時間 | 活動 | 教師の役割 |
|---|---|---|
| 0~8分 | 健康・器具確認、準備運動、軽い走りと無理のない股関節の動き | 痛み、地面、用具の向き、走路を確認 |
| 8~13分 | 全体動画1本と教師の示範 | 「越えたあとも走る」を共有 |
| 13~23分 | 平面の目印→低い障害物1台 | 怖さと踏み切り位置を見る |
| 23~38分 | 2~3台で間隔を選び、ペアで観察 | レーン間の安全と条件の調整 |
| 38~44分 | 同じ条件でもう一度走る | 止まらず走れた変化を拾う |
| 44~50分 | 整理運動、振り返り、合図後に片付け | 次に試すことを一つ残す |
動画を見て終わらない|ペアで一つだけ伝える
観察するのは「1台目の前」「越えたあとの一歩」「台と台の間」のどれか一つ。走路の外から短く撮り、見返したら次の練習へ戻ります。撮影者は走者の正面やゴールの延長上に立ちません。
「2台目の前は足が細かくなっていたね」
「間隔を短くしたら、最後まで同じリズムだったよ」
「次は1台目だけ、同じ出だしで試してみよう」
参考:スポーツ庁・橋立中学校2年生のハードル走事例。手本動画・撮影・仲間の助言を組み合わせた実践が紹介されています。本記事の6時間案とは別の実践です。
図解で一望する|日本陸連の公式PDF
全5ページ。前半は動きの解説、4~5ページ目(冊子p.32~33)は段階練習の図解です。平面の目印から障害物、足の練習、連続走へのつながりを確認できます。
ハードル走|技術と段階練習
段階練習の2ページをプレビューできます。画像を押すと拡大表示します。


出典:日本陸上競技連盟「中学校部活動における陸上競技指導の手引き」。部活動向けの資料です。記載の高さ・距離・競技条件を授業の全員に当てはめず、生徒の体格・技能・怖さに合わせて選びます。技術の解説も含めて確認する場合は、上のボタンから原本をご覧ください。
板書・投影で使える5つの確認カード
コース:___ 高さ:___ 間隔:___ 台数:___
今日は □ リズム □ 足の動き □ 1台目への助走 を確かめる。
□ 用具の向きと固定を先生が確認した □ 前の人が走路を空けた
□ ゴールの先が空いている □ 痛みや不安を伝えた
□ 手前で止まらない □ 越えたあとも走る □ 同じリズムで続く
今日見るのは一つ:____
うまくいかなかった場所:____
変えるのは □ 高さ □ 間隔 □ 台数 □ 速さ の一つ。変更は先生に確認する。
続けて走れた台数:___ 記録(測定した場合):___
よくなった動き:____ 次に試すこと:____
安全と評価|「高くした人が上」にはしない
- ハードルは走る方向に倒れる向きで設置し、逆方向から越えない。高さ調節部の固定や破損も教師が確認する。
- ロープを張って固定するなど、引っかかったとき逃げない障害物は使わない。教材用具は製品の使い方を守る。
- 走路と戻る動線を分け、前の走者が十分に離れてから出発。走路や着地場所に観察者・撮影者を置かない。
- 倒れた用具を戻すときや間隔を変えるときは、必ず走行を止める。用具を手で支えたまま仲間に越えさせない。
- 高さ・間隔を上げる変更は教師が確認する。怖さがある生徒に無理強いせず、平面の目印や低い障害物へ戻す。
- 疲労、痛み、暑さ、滑りに応じて本数・休息・場所を調整する。雨天に狭い室内へ同じ全力走を持ち込まない。
評価は、学年の目標に沿った動き、課題の選び方、具体的な助言、安全への配慮を合わせて見ます。違う高さ・間隔のタイムを、そのまま同じ順位表にしません。本人の変化を比べるときも、条件を記録してそろえます。
教材研究をもう一歩進める参考書
『基礎から身につく陸上競技』
陸上競技指導教本アンダー16・19[初級編]
日本陸上競技連盟 編/大修館書店
目次に「ハードルの技術ポイント」「ハードルの技術トレーニング」を収録。走りの基本とハードルの動きづくりを併せて確認したい先生向けです。競技指導の内容は、授業に必要な範囲を選んで使います。
広告リンク。版・価格・在庫は購入先でご確認ください。
体育の書籍ライブラリーでは、陸上運動・陸上競技の本を一覧で探せます。学校種や「ハードル」などのキーワードでも絞り込めます。
走り出しや加速も確認したい場合は、中学校短距離走・リレーの動画一覧へ。
次の授業準備に|中学校の授業実践パック
配布用の練習表や、編集できる資料を用意したい先生へ。柔道・バレーボール・ダンスでは、授業で使える教材パックをご用意しています。
柔道|授業実践パック技能練習表・Word・教師用ガイド内容・価格を見る →
バレーボール|授業実践パック技能練習表・学習記録・Word内容・価格を見る →
ダンス|授業実践パック構成表・評価シート・Excel内容・価格を見る →3教材はそれぞれ別売りです。