- 体つくり運動、準備運動や体力テストだけになっていませんか。
- 活動の種類が少なく、毎年同じ内容になってしまう。
- 楽しく動いた後、何を振り返らせればよいか迷う。
今日は何のために動く? 目的から活動を選べるように。
体ほぐしから、柔らかさ・巧みさ・力強さ・持続まで。18の活動例と公式動画4本を、授業で探しやすい形にまとめました。
中学1・2年の活動を中心に、3年の「実生活に生かす運動の計画」へのつなぎ方も紹介します。活動名・組合せ・7時間案は公式資料を踏まえた記事用の提案で、筆者の実施記録ではありません。
目的から選ぶ|活動18例の一覧
まず目的を一つ選びます。活動の説明へ移動し、関連する公式動画にも進めます。
体ほぐし:心と体の状態に気付く、仲間と関わり合う。上手にできた回数だけで成果を決めません。
体の動きを高める:目的に合った動きを身に付け、自分に合う強さや組合せを考える。全員同じ負荷で追い込む時間ではありません。
同じリズム運動でも、「気分の変化を感じる」と「続けられる強さを選ぶ」では、問いかけと振り返りが変わります。学習指導要領解説・冊子p.44以降
見たい内容から選ぶ|中学校向け公式動画4本
すべてスポーツ庁の教師用指導資料です。まず教師が確認し、生徒に見せるときは「どこを見るか」を一つ決めます。下の18例は授業用の提案で、動画の実演内容と一対一に対応するものではありません。
スポーツ庁|体ほぐしの運動「気付き」
教師が、心と体の状態に気付く授業の工夫を確認する動画です。
スポーツ庁|体ほぐしの運動「関わり合い」
仲間との関わりを授業にどう位置付けるかを考える参考に。
スポーツ庁|体の柔らかさ・巧みな動き
体の動きを高める運動のうち、柔らかさと巧みさを扱う教師向け動画です。
スポーツ庁|力強い動き・動きを持続する能力
力強さと持続を扱う授業の工夫を確認できます。
出典:スポーツ庁「体育・保健体育の授業における工夫例」。感染症対策を踏まえて制作された資料です。当時の対策を現在の一律ルールとはせず、活動の工夫を参考にします。埋め込みが再生できない場合は、各動画の「別画面で見る」から開けます。
イラストで一望|体の動きを高める4つの視点
「この運動は何をねらっている?」を、図と照らして考えます。スマホでは図を横に動かして見られます。
原図には人を背負う運動なども含まれますが、本記事の一斉活動には採用していません。図の全種目を実施するのではなく、設備・技能・健康状態に応じて教師が選びます。
気付く|心と体の変化を感じる
体ほぐしの活動例。上手・下手を決めず、感じたことや仲間への配慮を確かめます。
肩の力を入れて、ふっと抜く
用具なし・1人
肩を軽くすくめ、息を止めずに力を抜く。腕も小さく揺らし、前後の感じを確かめる。
「抜いた後、肩や気持ちはどう?」
調整・安全:強く力まず、首を大きく回さない。座ってもできる。
リズムを変えて歩く
用具なし・1人~全体
歩く→その場の足踏み→横への一歩などを、無理のないリズムで変える。
「どのリズムが心地よかった?」
調整・安全:速さを競わない。座った足踏みや腕の動きにも変えられる。
伸び方を変えて感じる
用具なし・1人
上へ伸びる、左右へゆっくり体を傾けるなど、楽な範囲で動く。動かす前後の感じを言葉にする。
「動かしやすさに違いはあった?」
調整・安全:柔らかさ比べにしない。痛みが出る手前で止める。
関わる|仲間と合わせて動く
体ほぐしの活動例。上手・下手を決めず、感じたことや仲間への配慮を確かめます。
ミラー運動
用具なし・2人
向かい合い、1人のゆっくりした腕・体の動きを鏡のようにまねる。途中で役割交代。
「まねしやすい速さに変えられた?」
調整・安全:接触しない間隔で。急な動きや深い反りは使わない。
みんなでリズム合わせ
用具なし・2~4人
足踏みと手拍子を短く組み合わせ、仲間とそろえて動く。難しければ動きを減らす。
「どうしたら全員が合わせやすい?」
調整・安全:そろわなかった人を責めず、合図やテンポを変える。
声をかけてボールつなぎ
柔らかいボール・3~4人
近い距離で名前や合図を伝えてから、取りやすい高さへゆっくり渡す。バウンドや転がしも選べる。
「どんな渡し方だと安心して受け取れた?」
調整・安全:落球で脱落させない。顔へ投げず、転がった球を追って他の組へ飛び込まない。
柔らかさ|動かす部位を意識する
体の動きを高める運動の活動例。同じ活動でも、回数・時間・速さ・負荷を変えるとねらいが変わります。
腕・肩のゆったり運動
用具なし・1人
小さな腕回しから始め、楽に動かせる範囲で少しずつ大きくする。
「どこが動いている?」
調整・安全:腕がぶつからない間隔をとり、勢いで回さない。
体側をゆっくり伸ばす
用具なし・1人
安定して立つか座り、片腕を上げて体を横へゆっくり傾ける。左右を無理なく行う。
「左右で感じ方は同じ?」
調整・安全:呼吸を続け、反動をつけない。仲間に押してもらわない。
ふくらはぎを伸ばす
壁など・1人
壁に手をついて足を前後に開き、後ろのかかとを床につけたまま、楽な範囲で伸ばす。
「伸ばす場所と強さを調整できた?」
調整・安全:足元が滑らない場所で。痛みを我慢して深く伸ばさない。
巧みさ|タイミング・力・バランス
体の動きを高める運動の活動例。同じ活動でも、回数・時間・速さ・負荷を変えるとねらいが変わります。
投げ上げてキャッチ
柔らかいボール・1人
低く投げて両手で捕るところから。できたら投げる高さや手拍子の有無を一つずつ変える。
「捕れる高さに力を調整できた?」
調整・安全:高く投げすぎない。転がしやワンバウンドから始めてもよい。
ライン・ステップ
床の線・1人
線をまたいで前後・左右へ一歩ずつ。歩く速さで順序を覚え、慣れたらリズムを変える。
「足順を保って動ける速さは?」
調整・安全:床に滑りやすい紙を置かない。跳ぶことを必須にしない。
バランスを変える
用具なし・1人
両足で立つ→片足を少し浮かせるなど、安定した床で支持の仕方を変える。腕の位置も試す。
「どんな姿勢なら安定した?」
調整・安全:壁に指先を添えてもよい。目を閉じる・高所に乗る課題は加えない。
力強さ|自分に合う負荷を選ぶ
体の動きを高める運動の活動例。同じ活動でも、回数・時間・速さ・負荷を変えるとねらいが変わります。
壁に手をつく腕の曲げ伸ばし
丈夫な壁・1人
壁に両手をつき、体を一直線に保てる範囲で肘をゆっくり曲げ伸ばす。
「姿勢を保てる位置はどこ?」
調整・安全:壁との距離を近くすると軽くなる。息を止めず、手首や肩が痛ければ中止。
浅いスクワット
用具なし・1人
足を安定させ、お尻を少し後ろへ引きながら、無理のない深さで膝を曲げて戻る。
「回数より、同じ動きを保てた?」
調整・安全:膝とつま先の向きをそろえる。深さ・回数を減らせるようにする。
膝つきの体支持
マット・1人
肘と膝をマットにつき、腰を反らさず楽に支えられる姿勢を短く試す。休んで確かめ直す。
「腰や肩に無理なく支えられた?」
調整・安全:保持時間の競争にしない。難しければ四つばいで支える課題へ。
持続|続けられる強さに調整
体の動きを高める運動の活動例。同じ活動でも、回数・時間・速さ・負荷を変えるとねらいが変わります。
ウォーク&ジョグ
周回できる場所・1人
短い区間の歩行と軽いジョギングを組み合わせる。歩く割合や速さを自分で調整する。
「続けられる強さだった?」
調整・安全:全力走にしない。一方向の動線と追い越しの約束を確認する。
その場ステップ
用具なし・1人~全体
足踏みと左右へのステップを組み合わせ、無理なく続ける。速さ・動きの大きさを選ぶ。
「止まらず続けるには、何を変える?」
調整・安全:ジャンプなしでもよい。息苦しさやめまいが出たらすぐ中止する。
短なわ・なわなしリズム運動
短なわは選択・1人
低い連続跳びを短く試し、休息を入れる。なわなしの足踏みと組み合わせてもよい。
「休息を入れると、動きはどう変わる?」
調整・安全:連続成功回数だけを競わない。なわが当たらない間隔と滑らない床を確保する。
初めての50分|体ほぐし→目的を選ぶ→調整する
18例を一度に回る授業ではありません。初回は次のように3~4種類に絞り、確かめる時間を残すと進めやすくなります。
| 時間 | 活動例 | 教師が確かめること |
|---|---|---|
| 0~5分 | 健康観察・間隔・中止の合図を確認 | 体調や痛み、参加方法を個別に確認。 |
| 5~12分 | 肩の脱力→ミラー運動 | 体の感じ方、相手に合わせる工夫を短く聞く。 |
| 12~17分 | 今日の目的と動画の一部を確認 | 例:「巧みな動き」を試し、難しさを調整する。 |
| 17~30分 | キャッチ/ラインステップを交代で試す | 低い投球・ゆっくりした足順など易しい条件から。 |
| 30~42分 | 自分に合う条件へ変え、もう一度 | 変えるのは速さ・高さ・足順など一つずつ。 |
| 42~50分 | 整理運動・片付け・一言記録 | 何を変え、どうなったかを言葉にする。 |
「3か所を回った」で終わらず、同じ活動に戻って調整を試します。苦手なら条件を易しくする。余裕があれば少しだけ変える。この選択も学習です。
中学1・2年|7時間の単元案
体つくり運動は各学年7単位時間以上の配当が示されています。以下は年間の配置に合わせて調整する一例で、必ず連続7時間で実施するという意味ではありません。
| 時 | 主な学習 | 残すもの |
|---|---|---|
| 1 | 体ほぐしと、動きを選ぶ体験 | 動く前後の気付き。 |
| 2 | 柔らかさ・巧みさの活動を試す | 自分に合う条件。 |
| 3 | 力強さ・持続の活動を試す | 無理なく行える負荷や休息。 |
| 4 | 目的を一つ決め、運動を組み合わせる | 目的・種目・時間や回数の案。 |
| 5 | 組合せを実施し、仲間と確かめる | 動きや負荷についての助言。 |
| 6 | 順序・強さ・時間を修正して再実施 | 変えた理由と結果。 |
| 7 | 自分に合った組合せを紹介する | 生活のどこで使えそうか。 |
毎時間、短い体ほぐしを入れることもできます。ただし「体ほぐしを準備運動として済ませる」のではなく、心身の状態や関わり方を確かめる問いを添えます。
組合せは2通りから考える
同じねらいで組み合わせる
例:巧みさをねらい、キャッチ+ラインステップ+バランス。それぞれの違いを確かめる。
異なるねらいを組み合わせる
例:体側伸ばし+壁での腕の曲げ伸ばし+その場ステップ。体の状態に合わせて順序や休息を考える。
中学3年|「授業でできる」から「生活で続ける」へ
3年生は、活動数を増やすだけでなく「実生活に生かす運動の計画」へ広げます。体ほぐしも引き続き扱います。
いつなら動ける? 場所や用具は?
目的・内容・時間・頻度を決める。
強すぎた、時間がない等を改善。
目的:無理なく動く習慣をつくる。
計画:安全な場所で、足踏みと横ステップを短時間、余裕のある日に試す。
見直し:息が上がりすぎたらゆっくりにする。場所が狭ければ足踏みだけにする。
全員に同じ家庭課題を課す例ではありません。住環境や健康状態に合わせて計画し、学校内で試せる方法も用意します。
授業で使える|3つの確認・振り返り
何のために、この運動を選んだ?
速さ・回数・時間・動きのどれを変えた?
心や体、仲間との関わりにどんな変化があった?
記録は「今日の目的/変えたこと/次に試すこと」の3欄程度で十分です。体ほぐしでは感じ方の正解を押し付けず、「あまり変わらなかった」も大切な気付きとして扱います。
評価は、体力テストの点や反復回数だけで決めません。目的・行い方の理解、課題に応じた工夫と伝え方、安全や仲間への配慮を、学習場面で見取ります。体つくり運動は「知識及び運動」の領域であり、技能の出来栄えだけで評価する扱いにはしません。
活動前に決めておく|安全と参加の選択肢
- 痛み・めまい・強い息苦しさがあるときは中止し、教師に知らせる。既往症などの配慮事項は事前に確認する。
- 床・用具・間隔を確認し、給水と休息を確保する。暑さ等に応じて内容を変更・中止する。
- 無理に押すストレッチ、人を持ち上げる活動、限界までの競争を一斉課題にしない。
- 接触が苦手な生徒は非接触の活動へ。立位が難しい場合は座位など、同じねらいを扱える参加方法を相談する。
- できない人を脱落させず、ボール・距離・速さなどの条件を変える。補助や助言の役割も固定しない。
教材研究に役立つ参考書
文部科学省『体つくり運動 学校体育実技指導資料』(東洋館出版社)。中学校を含む実践編があり、活動だけでなく指導・評価の組立てを考える参考になります。
2013年刊・旧課程に基づく資料です。現行の名称や評価は最新の学習指導要領解説と照合してください。同系統の指導資料は文部科学省の無料PDFでも読めます。紙で手元に置きたい場合の選択肢です。
体育.netの書籍一覧では、「体つくり・運動遊び」で絞り込んで比べられます。学校種や書名も確認しながら、授業に合う一冊を探せます。
次の授業準備に|中学校の授業実践パック
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参考資料
- 文部科学省「中学校学習指導要領解説 保健体育編」(令和6年12月一部改訂):体つくり運動、学年ごとの内容・授業時数。
- スポーツ庁・中学校の体育授業の工夫例:本記事の公式動画4本。
- 文部科学省「体つくり運動」リーフレット(2011年):4分類のイラスト抜粋。旧課程の資料。
- 東洋館出版社・参考書の書誌情報
資料・リンク確認:2026年9月15日。外部動画や資料は公開元の都合で変更される場合があります。
