鉄棒の授業を「逆上がりができた・できない」だけで終わらせず、できる動きを見つけ、上がる・回る・下りるを組み合わせる学習にしてみませんか。
- 逆上がりの練習だけでは、活動が広がらない。
- 苦手な生徒に、どの練習を勧めるか迷う。
- 技の名前だけでは、動きが伝わらない。
このページでは、公式の技イラストと21本の技別動画をまとめました。中学校向けの教師用動画、練習の選び方、短い発表までの授業案も確認できます。
公式資料をもとにした授業の提案です。動画の多くは小学校向けの基本資料ですが、中学生が既習の動きを確かめる際にも活用できます。全員が全技に取り組む計画ではありません。
まずは一望する|鉄棒の技イラスト
「この技なら知っている」「これはどんな動き?」と、動きの形から選べる一覧です。見たい技が決まったら、下の技名から動画へ進めます。
初めての技、逆さになる技、手を離して下りる技は、動画を見ただけで試しません。教師が技能・器具・補助体制を確認し、その時間に取り組める技を示します。



出典:スポーツ庁「小学校体育(運動領域)まるわかりハンドブック」高学年の動画一覧資料。鉄棒部分を切り出し、3枚に分けて掲載しています。●・◆・★は元資料の区分で、中学校の必修技や本記事のコース分けを示すものではありません。
技名から探す|公式動画21本
上がり技5本、回転技10本、下り技6本をまとめています。逆上がりが未習得でも、教師が設定した補助や入り方によって取り組める動きがあります。一つの技だけに活動を限定しないことがポイントです。
上がる
回る
下りる
上がる技を動画で確認
補助逆上がり
補助を受けて回る感覚を確かめる。補助の方法と高さは教師が決めます。
逆上がり
補助練習と見比べ、腰と鉄棒の距離や起き上がる動きを確認します。
膝掛け振り上がり
膝を掛けた姿勢と、脚の振りを使って上がる動きを確認します。
膝掛け上がり
膝掛け振り上がりとの違いを見比べます。姿勢の安定を確かめてから選びます。
もも掛け上がり
発展技の資料です。既習技と指導体制を教師が確認してから扱います。
回る技を動画で確認
かかえ込み前回り
前方へ回る感覚を確かめる技。かかえる姿勢は教師と確認します。
かかえ込み後ろ回り
前回りとの方向の違いを確認。後ろへ回ることへの不安も確かめます。
前方片膝掛け回転
膝掛け姿勢から前方へ回転する動き。握り方も含めて教師と確認します。
後方片膝掛け回転
膝掛け振りから回転へつなぐ動きを確認します。
前方支持回転
前方への回転と、支持姿勢へ戻るところを見比べます。
後方支持回転
後方への回転と、支持姿勢へ戻るところを見比べます。
前方もも掛け回転
片膝掛け回転との姿勢の違いを確認します。掛け方を自己判断で変えません。
後方もも掛け回転
後方片膝掛け回転との違いを確認し、教師と課題を選びます。
前方伸膝支持回転
発展技の資料です。脚を伸ばすことで動きがどう変わるかを観察します。
後方伸膝支持回転
発展技の資料です。後方支持回転の安定と指導条件を先に確認します。
下りる技を動画で確認
前回り下り
回転から足を着くまでを確認します。怖い場合は準備運動へ戻ります。
転向前下り
向きを変える動きと、下りる方向・着地場所を確認します。
両膝掛け倒立下り
倒立を含む下り方です。支持力・マット・補助体制を教師が確認します。
片足踏み越し下り
足を掛けて姿勢を変える技。踏み越す場所と着地を教師と確認します。
両膝掛け振動下り
振動から下りる技です。自分たちだけで試さず、教師の直接指導で扱います。
横跳び越し下り
発展技の資料です。着地範囲を広く確保できるか、教師が実施を判断します。
中学校の授業づくりを動画で見る
技の見本とは別に、授業の場づくりや進め方を考える教師用の映像です。
スポーツ庁「鉄棒運動の授業における工夫」。感染症対策期に制作された教師用動画です。当時の対策は、現在の学校の方針や実施環境と区別して参照してください。公式掲載ページ
苦手な生徒は、どの練習に戻る?
「もう一回」だけでは、同じつまずきが続きます。怖さ、支える姿勢、回る感覚のうち、どこで止まっているのかを一緒に確かめます。
| 今の様子 | 戻る練習・場の例 | 見るところ |
|---|---|---|
| 逆さになるのが怖い | マットでのゆりかごなど、既習の回転感覚へ。鉄棒では教師と無理のない姿勢から確認。 | 怖さを言葉にできるか。安心して終えられるか。 |
| 逆上がりで途中から起き上がれない | 補助逆上がりの動画を確認。教師が用意した補助の場で動きの一部分を練習。 | 腰と鉄棒の距離、腕が伸びる場面などを一つだけ観察。 |
| 回転の方向が分からない | イラストと動画で開始・途中・終了の姿勢を確認。教師の指導下で準備姿勢に戻る。 | どちらへ回るか、最後にどの姿勢になるか。 |
| 技はできるがつながらない | 技の間の姿勢・握りを確認。まず一技ずつ安定させ、つなぎは教師と練習。 | 次の技へ安全に移れるか。無理な持ち替えがないか。 |
鉄棒の高さや補助具は、生徒が自由に変える設定にしません。教師が器具の固定・適合性を確認した場を用意します。仲間はまず観察・動画確認・言葉での助言を担当し、身体を支える補助を自己流で行わないようにします。
教師用:準備姿勢・補助の公式図を見る
図だけをまねて補助を行う資料ではありません。前後の解説を読み、教師が補助方法を習得したうえで扱います。


手離し・振り下り等の記述を含みます。生徒への一律の練習指示にはせず、適用条件を教師が判断してください。前後のページを含む原資料を開く
「次に何をする?」を考える技のつながり
鉄棒には、上がる技、支持して回る技、下りる技に加えて、ぶら下がり・懸垂の運動もあります。動画一覧だけで鉄棒の全領域を網羅しているわけではありません。技の関係を広く見るときは、次の体系図が参考になります。
公式の技の体系図|上がる・回る・下りる・ぶら下がる


矢印は技の関係を考えるためのもので、全員が順番に進む表ではありません。図の色分けは刊行当時の解説によります。転載元:文部科学省「器械運動指導の手引」第3章。ページを画像化して掲載。
3つのコースで、自分の課題を選ぶ
技の難易度だけでクラスを分けず、何をよくしたいかで選ぶ例です。授業中も移動でき、どのコースでも動きの質を磨きます。
エレガントコース
できる動きを、安定して美しく。
教師が認めた上がり方・下り方などを選び、支持姿勢や静かな着地を磨きます。準備運動からの参加もできます。
コンビネーションコース
できる技を、途切れずにつなぐ。
上がる→回る→下りるを目安に、つなぎ方を教師と確認。技数を増やすより、無理なく移れる構成を考えます。
チャレンジコース
次の一技を、段階的に。
体系図と動画を見て次の課題を相談。教師の直接指導が必要な場は人数を絞り、未習得の技を発表へ無理に入れません。
短い発表まで見通す|6時間の単元案
以下は6時間で組む一例です。鉄棒の設置数や既習経験に応じて調整し、回転や支持の準備が不足していれば練習の時間を増やします。
| 時間 | 学習内容 | 見通し・確認 |
|---|---|---|
| 1 | 安全な使い方、基本の支持・回転感覚を確認 | できる動きと不安な動きを把握 |
| 2 | 上がる・下りる動きを選び、動画と見比べる | 無理なく始めて終われる組合せ |
| 3 | 自分に合う回転技や準備運動を練習 | 課題を一つに絞って助言し合う |
| 4 | コース別練習、技の質とつなぎを確認 | 教師が構成と実施条件を確認 |
| 5 | 小さな見せ合い、構成の修正 | 危うい技は外し、安定した動きへ |
| 6 | 発表・振り返り | 技の安定、改善した点、次の課題 |
1時間の進め方|50分の例
安全確認・準備 8分 → 課題確認 5分 → 練習① 12分 → 動画・助言 5分 → 練習② 12分 → 見せ合い・記録・片付け 8分
実施者・観察者を交代します。端末は着地場所や動線から離して置き、動画を見る時間を短く区切ります。待つ生徒には、教師が決めた安全な別の場で既習の準備運動を行えるようにします。
構成メモ|無理なく始めて、安定して終える
上がる:____ → 回る:____ → 下りる:____
よくしたいところ:____
教師と確かめたつなぎ・補助:____
仲間からの助言/次に直すこと:____
この3区分は構成を考える目安です。まだ連続が難しい生徒は、教師が確認した動きを一技ずつ見せる形から始められます。難しい技を入れた数だけで評価せず、技の安定や課題に合う練習、具体的な助言も見取ります。
開始と終了の姿勢を説明できる?
今の自分に合う場で、一つの課題を練習している?
つなぎと着地まで、安全に終えられる?
実施前に、教師が確認すること
- 鉄棒の固定・腐食・がたつき、握る部分の濡れや滑りを点検する。
- 技に応じたマットと着地範囲を確保し、待機列・端末・隣の鉄棒の動線を分ける。
- 装飾品や引っ掛かる服装を確認し、手の痛み・疲労・怖さが出たら中断する。
- 高さ・補助具・補助者の体制を教師が決め、初めての技を生徒だけで試させない。
- 頭から落ちる危険のある技や手を離す下り技は、教師が直接指導できる条件でのみ扱う。
動画は動きを理解するための資料で、実地の安全指導や補助の代わりにはなりません。学校の施設・生徒の実態に合わない技は、見る資料にとどめます。
教材研究に役立つ参考書
『マット・鉄棒・跳び箱指導の教科書 改訂版』
三好真史/学陽書房
基本技の段階的な指導や、つまずきへの対応を確認する参考に。小学校の指導を中心とした本なので、中学校の単元計画・評価は別途組み立てます。
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参考資料
- スポーツ庁:小学校体育の動画資料(基本技の確認用)
- 文部科学省:指導資料集(「器械運動指導の手引」掲載)
- 紹介書籍の書誌・内容