跳び箱運動の授業で、こんな悩みはありませんか?
- 跳べる生徒と、手前で止まってしまう生徒の差が大きい
- 段数を上げる以外の課題が見つからない
- 技の見本や、つまずきに合う練習の場をすぐに見せたい
「何段跳べたか」だけでなく、「自分の跳び方がどうよくなったか」を楽しむ授業へ。
イラストで技を選び、動画で動きを確かめ、教師・仲間の助言で出来ばえを磨きます。
本記事は公式資料をもとにした中学校向けの授業提案です。コース名・時数・確認カードは本記事の例で、特定の学校で実施した記録ではありません。
まず、イラストで技を一望する
「知っている技」「できそうな技」「もっときれいにしたい技」を見つけます。動画へは、この下の技名ボタンから移動できます。
教師が技能と用具、指導・補助体制を確認して、取り組める技と場所を指定します。回転系やはね跳びは、動画を見ただけで生徒同士で試すものではありません。

出典:スポーツ庁「器械運動 第5学年・第6学年」2ページの跳び箱部分を体育.netで切り出し・画像化。●・◆・★は原資料の小学校向け区分で、中学校の必修技や本記事のコース分けではありません。公式PDFを開く →
技名から探す|公式動画8項目
上の公式一覧にある跳び箱8項目をすべて掲載。小学校向けの映像も基本動作の確認に活用し、授業で扱う範囲は中学校の計画と生徒の実態に合わせます。学校体育にある全ての技・練習動画を網羅するものではありません。
切り返し系|手で支え、突き放して着地へ
開脚跳び
切り返し系。跳び越えたかだけでなく、手の支えから着地までを確認。
かかえ込み跳び
切り返し系。前提となる支持・突き放しを教師が確認して選ぶ。
屈身跳び
発展技。かかえ込み跳びなどの習得を確認し、教師の段階指導の下で。
回転系|前提となる動きと安全条件を確認して
台上前転
回転系。マットでの前転から見直し、横への落下も防げる場と補助体制で。
伸膝台上前転
回転系の発展。台上前転の安定と必要な動きを教師と確認。
首はね跳び
教師用の参考も兼ねる発展技。動画だけで試さず、個別判断と専門的な指導が必要。
頭はね跳び
首・頭部への負担や落下の危険を伴う技。指導体制が整わなければ扱わない。
前方屈腕倒立回転跳び
発展技。段階指導・適切な用具・補助技術を備えた教師の指導下で。
動画出典:上記スポーツ庁の技一覧。技名とQRコードのリンクを照合しています。
次はどの技? 技のつながりを見る
跳び箱の技は、大きく切り返し系・回転系に分かれます。図の右へ進むことだけが成長ではありません。同じ開脚跳びでも、助走から着地までが滑らかになることに価値があります。

出典:文部科学省「器械運動指導の手引」第3章 p.149を画像化。小学校から高等学校までを見通した資料です。矢印は関連・指導の流れであり、次の技を安全にできる保証ではありません。原資料を読む →
つまずきを分けて、練習の場を選ぶ
「怖い」にも、踏み切りへの不安、手で支える不安、着地への不安があります。まず本人の話と動きを確かめ、完成した技の反復だけにしないことが大切です。
① 助走・踏み切り
長い助走にする前に、教師が短い助走と両足踏み切りのリズムを確認。踏切板からマットへ着地する課題など、必要な部分に戻ります。
② 手で支える
マット上で手で体を支える動きや、教師が用意した支持でのまたぎ乗りなどへ。できない原因を「勇気が足りない」で片付けません。
③ 着地
着地場所に他の生徒がいないことを確認。自分に合う条件で、衝撃を受け止めて安定することを練習します。
④ 一連の動き
部分の練習で分かったことを、助走から着地までへ戻します。「今日はどこを変えるか」を一つ決めて試します。
参考:文部科学省「器械運動指導の手引」pp.150–153。以下は教師が前後の説明と合わせて確認する図です。図だけを渡して用具配置や身体補助を生徒に任せません。
「低いほど必ず安全」「助走を速くすれば跳べる」とは限りません。跳び箱と踏切板、着地マットの位置・固定・隙間、助走路と待機場所を確認します。連結や積み重ねも、用具が動く・ずれる危険を点検してから使います。
首・頭部を含む負傷につながるおそれがある技は、前提技能と専門的な補助技術、着地環境がそろう場合のみ。条件が整わなければ別の課題へ変更します。痛みや強い不安があれば中止して教師に伝えます。
参考:同手引 pp.155–156、p.174「補助について」。
3コースの提案|高さで序列をつけない
固定した能力別グループではなく、その日の課題を選ぶコースです。どのコースでも、安定した動きと着地を大切にします。
リズム|基本を整える
助走・踏み切り・支持・着地のうち、自分の課題に合う練習の場へ。最後は教師と確認した条件で一連の動きにつなげます。
エレガント|出来ばえを磨く
できる開脚跳びなどを、より安定して滑らかに。段数を上げるより、手の働きや着地の変化を確かめます。
チャレンジ|発展技へ
習得した動きを踏まえ、教師が認めた次の技へ。技ごとの段階指導を受け、安全条件が整う場で練習します。
コースの移動は教師に相談。教師の補助が必要な場所に人数が集中する場合は、別の基本練習と順番を組みます。
教師と仲間の助言を、次の1本へ
観察者は助走路・着地場所の外へ。「着地の後に一歩動いていたね」など見えた事実を伝えます。直し方は教師の指導と結び付け、次の試技で一つだけ確かめます。
動画は技全体を確認した後、今日の課題の場面に絞って見返します。撮影する場合は学校のルールに従い、待機場所で見返せる配置にします。仲間は観察・助言を基本とし、未指導の身体補助は行わせません。
8時間の単元例|最後は自分の変化を発表
以下は授業提案です。学校の計画と生徒の習得状況に応じ、時数・技を調整してください。
| 時間 | 取り組むこと |
|---|---|
| 1 | 安全の約束と発表の見通し。教師が基本動作と不安を確認する。 |
| 2〜3 | 技の絵と動画を見て、自分の課題に合う基本練習を選ぶ。 |
| 4〜5 | 教師と決めた技・条件で練習。仲間の観察をもとに一つ修正する。 |
| 6 | 出来ばえを磨く。発展技へ進む場合は教師の個別確認を受ける。 |
| 7 | 発表する技と用具条件を確定。試しの発表で動線を確認する。 |
| 8 | 発表・振り返り。「何を直し、どう変わったか」を共有する。 |
マットの連続技と違い、跳び箱は一つの試技を助走から着地まで見せます。技を次々につなげる必要はありません。発表直前に未習得の技や高さへ変更せず、教師と確認済みの条件で行います。
発表と評価|段数だけで決めない
技の出来ばえ、課題に合った練習の選択、安全な準備や仲間との学びを、学校の評価規準に沿って見取ります。新しい技ができた成果と、同じ技が安定した成果の両方を認めます。
今日の技・条件:____
今日確かめること:____
教師・仲間からの助言:____
試して変わったこと:____
次の課題:____
教師用|中学校の跳び箱運動の授業づくり
スポーツ庁の中学校向け映像です。感染症対策期に制作されたため、当時の対策と現在の学校の方針を区別して参照します。
跳び箱運動の授業における工夫
中学校・教師用指導資料
出典:スポーツ庁の教師用指導資料。
教材研究に役立つ参考書
『マット・鉄棒・跳び箱指導の教科書 改訂版』
三好真史/学陽書房
基本技の段階的な指導や、つまずきへの対応を確認する参考に。小学校の指導を中心とした本なので、中学校の単元計画・評価は別途組み立てます。
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参考資料
- スポーツ庁:小学校体育の動画資料(基本技の確認用)
- 文部科学省:指導資料集(「器械運動指導の手引」掲載)
- 紹介書籍の書誌・内容


